研究課題/領域番号 |
06272217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永尾 雅哉 京都大学, 農学部, 助手 (10237498)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | エリスロポエチン / 神経 / 栄養因子 / アストロサイト / 受容体 / 低酸素誘導 |
研究概要 |
エリスロポエチン(EPO)は赤血球系の前駆細胞に特異的に作用すると考えられてきたが、神経系にも作用することを我々は発見し研究を続けてきた。腎臓で産生されたEPOは血液脳関門を越えて中枢神経系に到達できないため、中枢神経系でEPOが機能するならば脳内でEPOが産生されるはずであると考えて、脳内EPO産生細胞の同定を試みた。まずラット大脳の初代培養細胞を低酸素条件である5%酸素分圧下で培養したところEPOの産生が見られた。なお、低酸素によるEPOの発現誘導は可逆的であった。次にEPO産生細胞を同定するためこのEPO産生細胞にSV40 large T抗原遺伝子を導入して不死化し、クローニングしたところ、EPO産生細胞はすべてアストロサイトのマーカーであるグリア繊維性酸性蛋白質に対する抗体で染色されたことにより、アストロサイトと判明した。EPO受容体がニューロンに存在することから、中枢神経系ではアストロサイトがEPOを産生し、ニューロンに作用するといったパラクリン様式で作用していると考えられた。現在、EPOが長期増強に効果がある可能性や、グルタミン酸による神経細胞死に対して抑制効果を示す可能性を示唆する結果を得ており、引き続き検討している。またルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとして、神経系でのEPO産生に関わるEPO遺伝子の転写調節領域の決定を行っている。 一方、マウスの神経系発生におけるEPOの役割を検討する目的で、EPO受容体のアンチセンスRNAを神経特異的に発現させるためのDNAを導入したES細胞を樹立して、8細胞期胚に注入し、キメラ個体を得ることに成功したが、胎生10.5日の胎児では形態的には異常が見られなかった。今後もう少し発生の進んだ段階、または成体での異常について検討したいと考えている。
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