日本人MyD家系93家系構成員312名(うち患者196名)の白血球から高分子量DNAを抽出し、サザンハイブリダイゼーションとPCR法にて、三塩基反復配列の長さを算出した。84組の親子例(父子間:44組、母子間:40組)で、親子間の(CTG)反復配列の長さを比較し、次の結果を得た。 1.親子間での三塩基反復配列数の変化:84組の親子間で三塩基反復配列の長さを比較すると、親に比べ子供では長さが拡大する傾向にあった。例外的に2組の父子間で、長さの短縮が認められた。父子間と母子間で拡大の比率を比較すると、母子間の方が大きかった。すなわち、父子間に比べて母子間の方が反復配列の長さがより長くなる傾向があった。 2.premutation家系の発見:一家系で発端者は患者の領域まで拡大していたが、その父は反復配列が46であった。また、父方の祖母は44反復配列、長兄は0.2kbの拡大、次兄と三番目の兄の反復配列は正常範囲であった。父の反復配列の46は、これまで報告されている反復配列の正常領域と異常領域の中間であった。父の反復配列は、次の世代で患者の範囲まで拡大していることより、父の反復配列をもつ不安定領域は、premutaionの状態にあると考えられた。 3.三塩基反復配列の拡大機構のモデル:これまでの解析より、健常人で、17-35の反復配列を持つヒトが予備群として存在し、新しい遺伝子変異が環境要因に加わることにより、40-50のpremutationの範囲に拡大し、さらに世代を経て50以上の完全な変異に拡大するモデルを提唱した。
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