研究概要 |
DMD遺伝子は複数の産物を産生し,骨格筋心筋では400kDa dystrophinが膜直下に局在.C端側でβdystroglycanと結合し,さらにαdystroglycan(156kDa)を介して細胞外matrixの主要構成要素merosinと結合,細胞内骨格と細胞外基質の間の主要架橋を形成する.このdystroglycan complexにはadhalin(50kDa),35kDa糖蛋白,A3b(-35kDa)のsarcoglycan complexとsyntrophins(59kDa),25kDaとが結合し,巨大なdystorphin-associated(gylco)protein complex(DAGs)を形成する.これに対し,肝,脳,肺では400kDa dystrophinにかわり71kDa(Dp71)が,末梢神経では116kDa(Dp116)が主要発現産物である.本研究はDp71,Dp116の神経系における意義の解明を目的としている.兎,豚の中枢および馬尾神経を免疫組織ならびにimmunoblotで検討.中枢神経に少量のDp71が,末梢神経には骨格筋と同程度のDp116が発現していた.このDp116はSchwann cellの細胞質に瀰慢性に存在し,特に膜直下に偏在していることはなく,myelin層やaxon部分にもなかった.DAGsについてみると,myelin最外層にのみ存在し,しかもsarcoglycan compelxはなく,dystroglycan comlexとsyntrophinsから成り立っていた.また,156kDaではなく120kDaのαdystroglycanを介して細胞外merosinと結合しており,筋における架橋形成とは非常にことなる様相であった。末梢神経の伸張,筋との接合との関連,Dp71の意義をさらに検討する.
|