研究課題/領域番号 |
06273226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
藤 博幸 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70192656)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 脂肪酸合成酵素 / 分子進化 / エイコサノイド受容体 / 分子系統樹 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、脂肪酸代謝経路の生物進化の中における形成過程を、分子進化の手法を用いて明らかにしてゆく事である。本年度より脂肪酸合成酵素をその解析対象とし、研究を開始した。脂肪酸合成酵素は、生物種によってその分子構造が究めて異なっている。例えば大腸菌由来の酵素では、各機能ドメインがサブユニットを形成し多機能複合体を形成とているのに対し、真核生物由来の酵素は、1本あるいは2本のポリペプチド鎖より構成される多機能酵素として働いている。しかし、同じ真核生物であっても菌類由来の酵素と、脊椎動物由来の酵素では各機能ドメインの一次構造中における連結の順序が全く異なっている。本酵素について、各機能ドメインごとに分子系統樹を作成し、それらを統合する事によって脂肪酸合成酵素の進化史を再構築すること、また各機能ドメインの進化的起源を調査するため相同性検索を行うことを計画した。また種々のポリケタイド合成酵素が脂肪酸合成酵素と相同であることが報告されているが、その系統関係は明らかにされていないので、その調査も計画に含めた。しかし、先述の通り本酵素の分子構造は複雑であり、報告されているアミノ酸配列の類似度も究めて低いものである。そこで本年度は、上記の配列解析を行う準備のため、各機能ドメインの一次構造における位置の同定、及びそれらの各相同配列ごとの分類を計画としてあげていた。予定よりも早く計画していた作業が終了したので、予備的に各相同配列のマルチプルアラインメント及び系統樹を作成した。その結果、(1)脂肪酸合成酵素は分子系統樹上で大きく3つのグループに分類でき、各グループの分子構造は類似していること、(2)ポリケタイド合成酵素は、脂肪酸合成酵素から進化の過程で独立に数回分岐していること、(3)各機能ドメインのいくつかについては、他の代謝経路に関与する酵素と配列類似性を示すこと等が判明した。次年度は、アラインメントの精密化や、系統樹や配列類似度の統計検定を行い、解析結果のチェックを進めたい。 また、本年度は脂肪酸由来の情報伝達物質であるエイコサノイドの受容体蛋白質のアラインメント及び系統関係の解析を行い論文として公表した。
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