研究課題/領域番号 |
06273228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
森 正敬 熊本大学, 医学部, 教授 (40009650)
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研究分担者 |
滝口 正樹 熊本大学, 医学部, 助教授 (40179578)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 尿素サイクル / 窒素排出 / アンモニア排出型動物 / 尿素排出型動物 / 尿酸排出型動物 / オルニチントランスカルバミラーゼ / アルギナーゼ / プロモーター |
研究概要 |
窒素排出の代謝経路は生物の進化に伴ってアンモニア排出型から尿素排出型へ進化し、これに伴って肝臓の尿素サイクルを獲得した。さらに、尿素排出型から尿酸排出型への進化に伴い、再び肝臓の尿素サイクルを失った。我々は5種の尿素サイクルのうち3種について世界に先駆けてcDNAおよび染色体遺伝子を単離し、尿素サイクル酵素がアルギニン合成系酵素より進化したことを明らかにした。本研究ではこれらの成果を土台として、窒素排出型の進化に伴う尿素サイクルの獲得と再喪失の分子進化の仕組みを解析した。哺乳類のオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)遺伝子について肝細胞特異的と思われるエンハンサーを発見しているので、その構造を詳しく解析した。このエンハンサーはプロモーターの11kb上流という非常に離れた位置に存在する。このエンハンサーには4ヶ所の蛋白結合部位が存在し、その2ヶ所には肝臓に多い転写因子であるHNF-4が結合し、他の2ヶ所にはやはり肝臓選択的な転写因子であるC/EBPが結合した。種々のDNA断片のエンハンサー活性を培養細胞へのトランスフェクション法を用いて調べたところ、4ヶ所の蛋白総合部位はすべてエンハンサー活性に必要であることが分かった。従って、尿素サイクルの獲得に伴ってOTC遺伝子はエンハンサーを獲得し、肝細胞で高レベルに発現する能力を獲得したと思われる。尿素サイクルのもう一つの酵素であるアルギナーゼは哺乳類では肝に特異的に発現しているが、そのプロモーターには細胞特異性はあまり見られない。そこでエンハンサーを検索したところ、転写介し部位の下流約11kbの第7イントロンから第8エクソンにかけての233bp領域に肝細胞特異的と思われるエンハンサーを発見した。従って、アルギナーゼ遺伝子についてもエンハンサーの獲得により、肝細胞での高い発現活性を獲得したものと思われる。
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