研究概要 |
1.アンジオテンシノーゲン(ATNG)遺伝子の転写調節機構の検討:培養肝細胞および分化誘導可能な培養脂肪細胞を用いて,ノーザンブロット法,CATアッセイ,ゲルシフト法,DNaseIフットプリント法を行い,細胞特異的・分化特異的なATNG遺伝子の転写調節には複数の近位プロモーター領域(AGE1,AGE2,およびAGE3)に作用する転写調節因子間の相互作用が重要であることを明らかにした. 2.心筋細胞におけるATNG遺伝子発現調節の検討:培養心筋細胞および培養心筋維芽細胞を用いて,ノーザンブロット法を行い,心肥大シグナルであるアンジオテンシンIIにより心筋細胞および心線維芽細胞におけるATNG遺伝子の発現が増加することを明らかにした.現在,心肥大を促進する物理的刺激(stretching)によるアンジオテンシン受容体の結合能の変化,ATNG遺伝子発現調節の検討,およびATNG遺伝子転写活性化に関与するプロモーター領域の同定を行っている. 3.遺伝性高血圧モデルラット(SHR)および遺伝性肥満ラット(WFR)における心ATNG遺伝子発現調節の検討:RIA法およびノーザンブロット法により,SHRでは高血圧に伴い血中ATNG濃度が上昇し心肥大とともに心ATNG遺伝子発現が増加することを明らかにした.週齢とともに血圧が上昇するWFRでは高血圧に伴い心血管系でのATNG遺伝子発現が増加することを明らかにした. 4.冠動脈疾患におけるヒトATNG遺伝子多型性の意義の検討:冠動脈造影検査を受ける患者の白血球から染色体DNAを抽出し,PCR法を施行してATNG遺伝子多型について解析した.その結果,特定のATNG遺伝子多型(T235M変異型)が冠動脈硬化症と有意に相関することを明らかにした.
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