研究課題/領域番号 |
06274226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 仁司 自治医科大学, 医学部, 講師 (50221817)
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研究分担者 |
香川 靖雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (30048962)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 筋分化 / RNAスプライシング / 選択的スプライシング / スプライシング因子 / ATP合成酵素 / アイソフォーム / RNA結合蛋白 |
研究概要 |
本年度の研究は三項目に分かれている。 1)心筋型ATP合成酵素の活性調節の検討:申請者はウシ心筋および肝より亜ミトコンドリア粒子を調整しさまざまな条件でオリゴマイシン感受性ATPase活性を測定した。その結果、それぞれのVmax,Kmには特に差を認めなかったが、pH依存性にわずかながら差が認められ、心筋におけるpH依存性は低かった。現在のところATP合成酵素におけるアイソフォームの存在はγサブユニットしか報告されていないため、このサブユニットにより活性の差が生じると考えやすい。 2)筋分化過程における選択的スプライシングの検討と筋芽細胞を用いた選択的スプライシングの可逆的誘導系の確率:マウスにおいて、MyoDを用いることにより線維芽細胞から筋芽細胞さらに筋線維に分化する系が確立されている。この系を用いてスプライシングの誘導過程を検討するために、まず申請者は新たにマウスATP合成酵素γサブユニットcDNAをクローン化した。次に筋芽細胞の段階で筋特異的な選択的スプライシングが分化培地で誘導されることを確認した。さらに筋芽細胞では低pH培地にて筋型スプライシングの誘導が、筋繊維への形態変化を伴わずに可逆的に生じることを示した。筋型スプライシングの誘導は蛋白合成阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤にて阻害された。また低pH培地の誘導により、他に筋特異的選択的スプライシングを生じるNCAMとの協調的スプライシング機構が存在することを示した。その調節機構については現在検討中である。 3)筋特異的スプライシング調節因子の同定と精製:申請者はヒト培養細胞にて心筋型RNA転写物と肝型RNA転写物の各々が環境pHによって別々に発現することを見いだした。また、心筋型転写物が誘導される際に新たな細胞内因子の合成が不可欠であることを明らかにした。申請者はこの筋特異的な選択的スプライシングを調節する分子機構を解明するために、ヒト培養細胞から核抽出液を粗精製し、ゲルシフトアッセイやUVクロスリング法を用いて解析した。その結果、選択的スプライシングを受ける第9エキソンの上流にある第8イントロンに結合するRNA結合蛋白が恒常的に存在し、低pH培地にて誘導後の核抽出液にはこの恒常的なRNA結合蛋白のRNAに対する結合を阻害する特異的な核内蛋白が存在することを明らかにした。現在まずこの恒常的なRNA結合蛋白がPTB(polypyrimidine tract-binding protein)であるかどうかを検討中である。つぎに心筋型RNA転写物のみを発現する培養細胞から核抽出液を抽出し、筋特異的な陰性調節を示すスプライシング因子をカラム等を用いて精製する予定である。
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