研究課題/領域番号 |
06276222
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
稲垣 昌樹 (財)東京都老人総合研究所, 神経生理部門, 研究室長 (30183007)
|
研究分担者 |
佐々木 泰治 ライフサイエンス総合研究所, 薬理第一研究所, 所長
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | サイクリン依存性キナーゼ / 基質認識性 / 活性部位の立体構造 / 成基質ペプチド群 |
研究概要 |
cdc2キナーゼは、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)ファミリーの1つであり、真核細胞の細胞周期を制御する重要な働きを持つ。これまで、cdc2キナーゼの生理的基質蛋白質とそのリン酸化部位の解析から、cdc2キナーゼは、Ser/Thr-Pro-X-Z(Z:多くの場合、塩基性アミノ酸)という基質アミノ酸配列をリン酸化することが示唆されてきた。例えば、私たちが解析した中間径フィラメント蛋白質の一つであるビメンチンにおけるリン酸化部位は、-Ser^<55>-Pro-Gly-Gly-である。Proは側鎖に電荷を持たず、また、環状イミノ酸であるなど、他のキナーゼの基質認識要素として働く塩基性アミノ酸や酸性アミノ酸とは、構造および性質が大きく異なる。Proがcdc2キナーゼの基質認識要素として働く具体的な機構はまだ不明である。本研究において我々は、Pro様構造を持つ種々の異常アミノ酸を含むペプチドを合成し、その基質活性をProの場合と比較するとともにcdc2キナーゼの基質結合部位と作製した合成基質ペプチドの結合状態を、計算・解析した。その結果、Pro残基は基質のリン酸化部位周辺の最も安定な立体構造としてβターンを形成させる働きがあり、しかもこの立体構造がcdc2キナーゼの基質結合部位に最もマッチする構造であることがわかった。Proによりリン酸化部位がβターンを形成した場合、標的アミノ酸のC-末端側の塩基性アミノ酸は、cdc2の基質結合部位のGlu12およびGlu38と相互作用が可能となり、基質結合にさらに有利に働くことが示された。現在上記したcdc2キナーゼの立体構造に基づく基質認識機構解析システムをcdk5等他のサイクリン依存性キナーゼについて行っている。これらの解析により種々のサイクリン依存性キナーゼ間の基質認識の差異を明らかにできることが期待できる。
|