研究概要 |
JAK2とエリスロポエチン(エポ)レセプターとのin vivoにおける結合を、種々の変異レセプターを発現させた細胞を用い分析したところ、Jak2はエポ刺激依存性にエポレセプターと結合し,活性化されエポレセプターおよび自身のチロシンリン酸化を引き起こすことが明らかとなった.Jak2との結合と活性化の誘導は,C末端領域を欠如するも増殖刺激伝達能は正常のレセプターにおいても認められた.一方,膜近位部で他のサイトカインレセプターとの相同生領域に点突然変異を有するレセプターでは,Jak2との結合と活性化や他のキナーゼの結合は全く認められなかった.以上の結果より,エポレセプターは細胞内膜近位部においてJak2と結合し活性化することにより増殖シグナルを伝導することが強く示唆された(Blood84;1501-7,1994). JAK2の各領域を大腸菌もしくはCOS細胞に発現させ,エポレセプターとの結合および活性化に必要な領域をin vitroおよびin vivoにて検討したところ,C末端部分のキナーゼ領域が重要な役割を果たすことが見出された(投稿準備中). エポ刺激によるRas/MAPキナーゼ経路の活性化について検討したところ,エポレセプターはC末端領域依存性にShcのチロシンリン酸化とAsh/Grb2との結合を誘導しこの経路の活性化を惹起することを見出した(J.Biol.Chem.269:29962-29969,1994).しかし,この経路の活性化は種々の変異レセプターを発現させた細胞において,レセプターのJak2活性化能および細胞増殖誘導能とは相関を示さなかった.一方,エポレセプターはVavのチロシンリン酸化とPim1キナーゼの発現誘導を引き起こしたが,これらはJak2の活性化および細胞増殖シグナルと密接に相関し,細胞増殖シグナルの伝達に重要な機能を有することが強く示唆された(Blood84:4135-4141).
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