研究課題/領域番号 |
06278201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
前島 正義 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80181577)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1994年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 細胞成長 / 液胞 / プロトンポンプ / プロテインボディ / 水チャンネル |
研究概要 |
器官形成には、それぞれの器官を構成する細胞の分化とともに、各細胞が大きく成長するという2つの側面がある。本研究では、細胞の成長、成熟過程と、種子貯蔵器官での細胞機能の変換過程を、液胞に焦点をあてて解析した。具体的な研究材料は、ヤエナリ芽生えの胚軸、ダイコンの塊根を選んだ。研究対象には、液胞膜H^+-ピロホスファターゼ(PPase)とH^+-ATPaseを選んだ。いずれも液胞を酸性化するとともに、糖などを輸送する二次能動輸送系に駆動力を与えている。液胞内にイオン、代謝産物が集積することにより、浸透圧が上昇し、細胞の膨圧が高まる。これが細胞の成長をもたらす駆動力となる。また、液胞膜の水チャンネルと考えられるタンパク質(VM23)の解析も行った。 この研究により次の成果が得られた。(1)H^+-PPaseは種子植物以外にも、シダ、コケなどに分布し緑色植物に普遍的な酵素であることが明らかになった。一方、水チャンネルVM23は、全ての植物に分布するわけではなく、シャジクモ、カサノリなどには存在しないことが明らかになった。(2)オオムギH^+-PPaseのcDNAをクローニングすることにより一次構造を解析し、単一タンパク質に基質分解の触媒部位とH^+チャンネル形成部位の両方が存在することが解明できた。(3)種子が発芽する段階で、貯蔵器官のタンパク質顆粒は液胞化するが、この時、H^+-ATPaseとH^+-PPaseの両方が新たに合成され膜に局在化することが明らかになり、タンパク質顆粒-液胞の相互変換に明確な結論を与えた。このほか、細胞の成長、成熟にともなう2種プロトンポンプの量的変動についても解析し、両者が異なった変化を示すことが明らかになった。
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