研究課題/領域番号 |
06280106
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立予防衛生研究所 (1995) 東京大学 (1994) |
研究代表者 |
吉池 邦人 (1995) 国立予防衛生研究所, 研究主幹 (90072925)
山口 宣生 (1994) 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90012723)
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研究分担者 |
山口 政光 愛知県がんセンター, 研究所, 室長 (00182460)
高田 賢蔵 北海道大学医学, 附属癌研究施設, 教授 (30133721)
半田 宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80107432)
横山 一成 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 副主任研究員 (80182707)
石井 俊輔 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 主任研究員 (00124785)
吉池 邦人 国立予防衛生研究所, 研究主幹 (90072925)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
43,500千円 (直接経費: 43,500千円)
1995年度: 21,000千円 (直接経費: 21,000千円)
1994年度: 22,500千円 (直接経費: 22,500千円)
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キーワード | DNAウイルス / 初期遺伝子 / 転写調節 / SV40 / アデノウイルス / パピローマウイルス / EBウイルス / B型肝炎ウイルス |
研究概要 |
この班は本年度で、がん特別研究から数えて3年を経過し、研究を終了する。転写制御とDNA型腫瘍ウイルスの初期遺伝子を中心に据え、初期遺伝子の発現誘導から初期遺伝子機能による細胞増殖誘導に至るシグナル伝達機構の解析という大きい目的に向かって、多数の系で研究を進展させた。初期遺伝子の発現制御については、そこに働く転写因子の詳細な解析を通じて、それらと、他の因子のネットワーク構造を示唆する結果が得られた。例えば、E4TF1がRbを活性化すること、E4TF3がカゼインキナーゼIIにてリン酸化されること、E1AがCBPをコアクチベタ-とすることでMybの系と競合すること、X蛋白質とp53がTAFを介して働くこと等々である。初期遺伝子産物からのシグナル伝達では従来知られていたE2F、p53などの経路に加え、それ以外の経路を見出し、それらの転写因子が、がん形質を発揮するように働く経路につき、極めて示唆に富む結果も得た。例えば、E2Fの経路はPCNA遺伝子の発現を上げ、細胞増殖に直接的な影響を持ち、ets様因子のE1AFを介する経路は3種のマトリックスメタロプロテアーゼを活性化しがんの浸潤性に影響与え、CAAリピート結合因子を介する経路はMHCクラスI抗原の発現を抑制し、がん細胞が免疫系より排除されるのを防ぐ。この方向に添う発見で、意外だったのは、HPVやEBウイルスの遺伝子の持続的発現が、がん形質の維持に必要であったことである。すなわち、DNA腫瘍ウイルスはモデル系以上の意味を持っているわけである。HPVやEBウイルスの研究を強力に進めるのは当然であるが、上記の転写制御に関係した知識が、直接的に臨床癌の理解に役立つ可能性が非常に強まった。今後もこの方向に添った地道な努力が、是非とも必要だろう。
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