研究概要 |
(1)「相同相互作用による非相同組み換え」とフィラーDNA。パピローマウイルスプラスミドをモデル染色体とした遺伝子ターゲッティングにおいて二つのDNAのホモロジーによる相互作用がその一つと第三のDNAとの非相同組換えをひきおこしたと考えられる産物を既に報告した(Sakagami et al)。今年度は、アデノウイルスベクターによってドナーDNAを導入したときに、この非相同組換え点に10bpのフィラーDNAが入った産物を発見した。これは、二重鎖切断が反応中間体であることを示唆する(図)(Fujita et al,in press)。(この項斉藤泉グループとの共同研究。) (2)「相同性による非相同組換え」の選択的検出。この組換えを選択的に検出するための、分子内に繰り返し配列をもつプラスミドを作り、培養マウス細胞に導入し、産物を大腸菌に選択的に回収し、シークエンスを調べた。高い感度で、繰り返しの端で非相同組換えがおきフィラーDNAが挿入された産物が得られ、それらはみな同じ構造をもっていた。この反応が大腸菌とマウスのどちらで起きたかを検討中である。 (3)相同組換えのホモロジー長さ依存性。この反応などによる相同組換え中間体のホモロジーの端での破壊を確率過程とみて定式化することによって、哺乳類細胞などでの相同組換えのホモロジー長さ依存性を定量的に説明した(Fujitani et al)。端での反射の影響をも解析した(Fujitani & Kobayashi,in prep)。(この項、藤谷との共同研究。)
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