研究課題/領域番号 |
06280249
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
加藤 宣之 国立がんセンター, 研究所・ウイルス部, 室長 (40150883)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1994年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / ウイルス遺伝子 / cDNAクローニング / 持続感染細胞 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染後に起こる肝がんの発症を抑止する方策を見い出すためにはHCVの複製機構を解析できるHCVの増殖系の開発が必要であることから、本年度はヒト肝細胞などへのHCV遺伝子導入によるHCVの複製機構の解析における第一歩としてHCVキャリヤ-である献血者の血清由来のcDNAライブラリーを用いたHCV全ゲノムの再クローニングとHCVに感受性を示すヒト細胞株の同定作業を行った。 まず、2例の献血者血清(100-200ml)からRNAを調整しそれぞれについてλgt10のcDNAライブラリーを構築後、HCV遺伝子の各領域をプローブとしてスクリーニングし、できるだけ長いcDNAをクローニングした。得られたcDNAの平均鎖長は1kb弱であった。一例についてはほぼ全領域をカバーするcDNAクローンが得られたが、二例目については一部の領域のcDNAクローンが得られておらず現在さらにクローニングを続行している。今後、得られたcDNAクローンを制限酵素やPCR法で繋ぎ合わせて一人のHCVキャリアー由来の完全長HCVcDNAを構築する予定である。 次に、HCV遺伝子全体を細胞内に導入する際に必要なHCVの複製が可能な細胞を選定することを目的として種々のヒト培養細胞のHCV感染に対する感受性を調べた。その結果、ほとんどの細胞はHCV感染に対して非感受性と考えられたが、成人T細胞白血病ウイルス感染細胞であるMT-2細胞はHCV陽性の血清添加後すくなくとも15日間細胞内にHCVが保持されていることを見い出した。また、HCVの細胞内複製を示唆するHCVのマイナス鎖RNAも検出された。 本研究によりHCVの細胞内増殖系の開発に必要なHCV遺伝子の全長をカバーするcDNAとHCV感染に対して高感受性を示し、細胞内複製が示唆されるヒト細胞(MT-2細胞)を選定することができた。これらの成果は今後に予定されているHCVの複製機構の解析に有用であると考えられる。
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