研究課題/領域番号 |
06281106
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中村 恭一 東京医科歯科大学, 医学部・病理学第一講座, 教授 (70110492)
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研究分担者 |
渡辺 英伸 新潟大学, 医学部・病理学第一講座, 教授 (70037381)
服部 隆則 滋賀医科大学, 病理学第一講座, 教授 (70079721)
寺田 雅昭 国立がんセンター研究所, 所長 (10124421)
田原 栄一 広島大学, 医学部・病理学第一講座, 教授 (00033986)
喜納 勇 浜松医科大学, 医学部・病理学第一講座, 教授 (60010211)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
1994年度: 14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
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キーワード | 胃癌 / 癌遺伝子 / 癌組織発生 / 遺伝子異常 |
研究概要 |
胃癌が発生・進展過程において獲得する遺伝子異常や特異的な増殖・浸潤機構に関して、平成6年度は以下の研究成果を得た。非癌部粘膜においてp53遺伝子異常が前癌段階として存在し、胃癌の発生と関係し得ることが異時性多発胃癌の研究から明らかにされた。胃癌の発生過程をキメラマウス胃癌のDNA polymorphismによって解析し、胃癌が腺管内の一個の多分化能幹細胞から発生することが明らかにされた。胃癌の進展過程における高悪性度化の機転として、p53遺伝子異常を介したゲノムの不安定化の存在が示唆された。胃癌の進展過程に於ける異常増殖のメカニズムとして、bFGF、Amphyregulin、TGFα、IL6などのcytokineを介したautocrine・paracrine機構が重要なことが明らかにされた。また増殖シグナルの伝達に関与する可能性のあるチロシンキナーゼとしてERKが新たに単離され、胃癌において高発現していることが明らかにされた。さらにc-erbB2増幅ユニット中に存在する遺伝子として、CAB1,c51が新たに単離され、それらが胃癌においても増幅していることが明らかにされた。胃癌の転移には増殖因子bFGFあるいは細胞接着に関与するβ1,4Gal-Nac転移酵素が関係していることが示された。このように胃癌の発生過程から進展、転移にわたり多くの知見が得られた。これらを胃癌の実地医療に有効に活用していくことが現在の大きな課題である。今年度の研究の中では、通常の組織標本ではしばしば診断の困難な小腸型低異型度胃癌に関してp53,erbB2,増殖細胞マーカーKi-67を診断に用いる試みがなされたが、その診断価値は現時点では限られたものであった。
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