研究課題/領域番号 |
06281213
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福井 泰久 東京大学, 農学部, 教授 (00181248)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | PI3キナーゼ / 破骨細胞 / アクチン / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)の生理的役割について検討した。PI3Kの阻害剤wortmanninをいろいろな場合に作用させてみたところ、とくに破骨細胞で面白い現象が見つかった。破骨細胞はdentine sliceの上で培養すると骨吸収をするようになる。骨吸収をする細胞膜面をruffled borderと呼ぶが、このときwortmanninを作用させると細胞内に液胞のようなものを蓄積し、ruffled borderが形成されない。電子顕微鏡解析その他の結果から、細胞内に蓄積しているものはruffled borderの前駆体と考えられ、その前駆体が細胞膜と融合できないためにruffled borderができないと思われた。以上のことからPI3Kは膜の融合に関係している可能性が示唆された。また、同時に破骨細胞内に形成されるF-アクチンの構造体(ボドソーム)も消失した。このとき、繊維芽細胞内に見られるストレスファイバーは影響を受けなかった。これらのことより、アクチンの重合には精巧な調節機構があり、P13Kはボドソーム形成のために必要であることがわかった。ruffled borderの形成とボドソームの形成の関係については現在検討中である。 また、P13Kの85kDサブユニットのうちβタイプに対するモノクローナル抗体を作成した。すでに取得していたαタイプに対するものと組み合わせ、どのような細胞でこれらが発現しているかを検討した。その結果、αタイプのものが少ないか、欠落しているものについてβタイプのものの発現が多い傾向にあり、βタイプのものはαタイプのものを補う役割をしているのではないかと考えられた。その実験の中で、野性型αタイプを発現せず、かわりにdeletion型の変異タンパク質を発現している細胞株を見いだした。その遺伝子の構造についても検討を進めている。
|