最近細胞接着分子、たとえばCD28やB7の遺伝子を用いて、抗腫瘍性キラーT細胞の細胞傷害活性を増強させることができるようになった。本研究では、やはり接着分子のひとつと考えられているCD69分子を用いて抗腫瘍性キラーT細胞のガン細胞傷害能力が増強できないかどうか、さらに、細胞傷害が起こる際にキラーT細胞側と標的ガン細胞側に誘起されるシグナル伝達を、コンピュータ画像処理装置などを用いて解析しようと考えている。CD69の発現は、T細胞の活性化時のみにみられ、特にNK細胞ではNK活性の上昇とカイネテイクスが一致する。したがってNK細胞のエフェクター分子ではないかと考えられている。またCD8陽性のキラーT細胞の活性化を増強させることも知られている。シグナル伝達の方は、初年度である平成6年度は、CD69分子を遺伝子導入したいくつかの腫瘍株の作成、トランスジェニックマウスの作成を行った。現在(平成7年1月)、腫瘍株のin vivoでの増殖におけるCD69の遺伝子導入の効果を調べている。トランスジェニックマウスについては現在5匹のfounderを得た。子孫を作り実験に用いる予定である。
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