研究課題/領域番号 |
06281238
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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研究分担者 |
林 健一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助教授 (70223237)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 細胞骨格 / 動的接着部 / 辺縁接着部 / 収縮蛋白質 / カルデスモン / プロモーター解析 |
研究概要 |
ガン細胞あるいは悪性形質転換細胞における接着構造の機能とこれを構成するアクチン系細胞骨格の機能及び制御機能を明らかにすることは、がンの転移浸潤機構を理解するうえで重要である。本研究では、正常線維芽細胞とラウス肉腫ウイルスにより形質転換した細胞を比較することにより、形質転換細胞では運動性に富む動的接着部と静的な辺縁接着部の2種類の接着部位が形成されること、および動的接着部にはアクチン、ミオシン、カルデスモン(CaD)、トロポミオシンなどの収縮蛋白質が集積されることを見い出した。しかしながら、CaDは、正常細胞に比較して腫瘍細胞で発現量が著名に低下していた。この様な組織、細胞特異的なCaDの発現機構を解析するため、すでにクローニングずみのプロモーター領域をCAT遺伝子の上流に挿入したプラスミド及びこれ由来の一連の欠失変異プラスミドを構築した。これらのプラスミドを分化型形質を維持した平滑筋初代培養細胞及び脱分化型平滑筋細胞にトランスフェクションし、CATアッセイを行った。同様の解析をびHeLa細胞を用いておこなった。また、ゲルシフトアッセイによりDNAと核蛋白質の相互作用を解析した。その結果、CaDプロモーターは分化型平滑筋細胞において高い転写活性を示した。脱分化型平滑筋細胞では転写活性は抑制を受け前者の70〜40%程度であった。HeLa細胞での転写活性はさらに低く分化型平滑筋細胞における活性の10%以下であった。これらの結果はそれぞれの細胞でのCaD蛋白質の発現量と一致しており、CaDの組織特異的な発現は転写レベルで制御されていることが明らかになった。この分化型平滑筋細胞特異的な転写促進は転写開始部位の上流-309〜300に位置するCArGbox様配列(CCAAAAAAGG)に依存しており、この配列と前後6bpを含む配列CArG1と特異的に結合する核蛋白質が平滑筋細胞核抽出液中に存在することを見出した。以上の結果、このCArGbox様配列はCaDの平滑筋特異的な発現を制御している唯一のシス因子であることが明かになった。さらにガン細胞でCaD遺伝子のプロモーター解析を行い、転写制御の違いやガン細胞での転写抑制の要因を明らかにする必要がある。
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