研究概要 |
細胞増殖および分化の制御におけるRas類似G蛋白質の作用機構の解析を行い以下の結果を得た。 1.R-Rasの標的蛋白質の同定 GTP結合型のR-Rasをマトリックスに固定化してアフィニティカラムクロマトグラフィーを行い、R-Rasの標的蛋白質の同定を試みた。その結果、牛大脳からGTP-R-Rasに結合する分子量約10万の蛋白質(p100)を分離精製できた。この蛋白質はGDP結合型のR-Rasには結合せず、標的蛋白質結合領域に変異を導入したGTP結合型のR-Rasにも結合しなかった。また、GTP結合型のH-RasとRhoには結合しなかった。したがって、この蛋白質はR-Rasの標的蛋白質のひとつであると考えられる。この蛋白質の部分アミノ酸配列からcDNAをクローニングしたところ、Ras GAPとホモロジーがあることが判明した。 2.Rhoの標的蛋白質の同定 GTP結合型のRhoをマトリックスに固定化してアフィニティカラムクロマトグラフィーを行い、Rhoの標的蛋白質の同定を試みた。その結果、牛大脳からGTP-Rhoに結合する分子量約12万と14万、16万、18万の蛋白質(p120,p140,p160,p180)を分離精製できた。これらの蛋白質はGDP結合型のRhoには結合せず、標的蛋白質総合領域に変異を導入したGTP結合型のRhoにも結合しなかった。また、GTP結合型のH-RasとR-Rasには結合しなかった。したがって、これらの蛋白質はRhoの標的蛋白質であると考えられる。 以上本年度の研究計画はほぼ達成することができたと考えている。
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