研究概要 |
【CCケモカイン遺伝子クラスター】 CEPH mega-YACライブラリーからヒトCCケモカイン遺伝子クラスターを含む約30クローンを同定し、一つのコンティグを作成した。このクラスターは数Mbにわたると考えられ、CCケモカイン8種の遺伝子の染色体17番q11上の配列順序が判明した。またCCケモカイン遺伝子クラスターはLD78α,LD78β,AT744.1,AT744.2,RANTESのグループとI-309,MCP-1,MCP-3のグループが、ケモカインメンバーの見出されていない領域を挟んで存在していた。またこのコンティグにはD17S933が含まれ、周囲には神経線維腫症遺伝子NF1および乳ガン遺伝子BRCA1が存在していた。次に単離したYACクローンのうちの3種を用いてこれらにハイブリダイズするヒト脳cDNAのクローニングを試みた。既知のあるいはそれに相同なcDNAは単離されているが、ケモカインのcDNAはまだ見いだしていない。 【ヒト中枢神経系、骨髄好酸球前駆体および骨芽細胞でのCCケモカインLD78の構成的発現】 RT-PCR法で調べるとヒト脳でCCケモカインのLD78などが検出された。そこでヒトの脳12切片を抗LD78モノクローナル抗体を用いて免疫組織染色法で調べるといずれのサンプルでも神経細胞やアストロサイトと思われるグリア細胞が染色された。また以前に免疫組織染色法で骨髄中の好酸球前駆体がLD78を産生していることを見いだしていたが、今回in situ hybridization法で調べると好酸球前駆体以外に骨芽細胞がLD78を発現していることが分かった。中枢神経系でのLD78の役割は不明であるが、今回の結果から骨芽細胞が分泌するLD78が破骨細胞の分化を調節していると考えられ、LD78が骨代謝にも深く関与していることが分かった。
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