研究課題/領域番号 |
06281268
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
横田 淳 国立がんセンター研究所, 生物学部, 部長 (10191503)
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研究分担者 |
矢追 義人 国立がんセンター研究所, 生物学部, 室長 (20109979)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
17,300千円 (直接経費: 17,300千円)
1995年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1994年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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キーワード | 転移 / がん抑制遺伝子 / チロシンキナーゼ / 肺がん / 悪性黒色腫 / 染色体欠失 / 大腸がん |
研究概要 |
発がん機構の解明が遺伝子レベルで急速に進んでいるが、現在までの研究ではがんの個々の病態を遺伝子変化との対応で把握するまでには至っていない。特にがんの臨床上大きな問題である転移に関与する遺伝子についてはその全容は未だに不明である。そこで、本研究ではがんの悪性化に関わる遺伝子の単離・同定を目的として、以下の三点についての研究を進めた。第一には、マウス実験転移モデルを用いて、転移能と相関して発現変動している遺伝子の単離・同定を試みた。第二に、がん抑制遺伝子の異常やマイクロサテライトDNAの複製異常について種々のヒト腫瘍で検討し、がんの悪性化の要因となっている可能性を追求した。そして、第三には、がん細胞の接着や浸潤・転移に関わることが予想されるpp125^<FAK>の機能及びがん細胞における変動について検討した。それぞれの結果を以下に列記する。 1.mRNAフィンガープリント法であるDifferential Display法を用いて、K1735マウス黒色腫細胞株の転移能と相関して発現変動している遺伝子を探索し、高転移株のみで発現している三個の遺伝子と低転移株のみで発現している四個の遺伝子を単離した。うち三個は既知の遺伝子と相同性のない新規遺伝子だった。 2.肺がんでは第二染色体欠失ががんの悪性化に関わっている可能性を示した。さらに第二染色体長腕にホモ欠失のある肺がん細胞株を見い出し、この領域から肺がんで発現低下している新しいタイプのフォスフォリパーゼCを単離した。マイクロサテライトDNAの複製異常として検出される遺伝子不安定性は、大腸がんや胃がんでは家族集積性のある症例でみられるが、肺がんでは悪性度の強いがんに検出されることを明らかにした。 3.pp125^<FAK>はチロシンだけでなくセリンもリン酸化され、そのリン酸化にはPKCが関わっていること、また、そのリン酸化阻害で蛋白質の寿命が短くなることを明らかにした。
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