研究課題/領域番号 |
06282246
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西村 泰治 熊本大学, 医学部, 教授 (10156119)
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研究分担者 |
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
松下 祥 熊本大学, 医学部, 助教授 (50167649)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | がん特異抗原 / 抗原ペプチド / 腫瘍免疫 / HLA分子 / 抗原提示 |
研究概要 |
HLAクラスII(DR,DQ,DP)分子は、抗原提示細胞が取り込んだ抗原を、蛋白分解酵素により分解して出来たペプチドを結合して細胞表面に発現し、これをCD4^+T細胞に提示して活性化する。活性化CD4^+T細胞は、IL-2をはじめとする種々のサイトカインを分泌し、CD8^+細胞傷害性T細胞、抗体産生B細胞およびマクロファージの増殖、分化あるいは活性化を誘導する。外部より取り込んだ抗原由来のペプチドを結合しないHLA分子は、その細胞が産生する蛋白に由来するペプチドを結合している。したがって癌化にともない癌関連遺伝子に生じたミスセンス異変に由来するアミノ酸残基の置換を有するペプチドが、HLAクラスII陽性の癌細胞表面あるいは癌細胞を取り込んだ抗原提示細胞の表面に発現し、CD4^+T細胞により癌特異的非自己ペプチドとして認識され免疫応答を誘導する可能性が十分に考えられる。さらにp53の突然変異の中には、蛋白の構造を大きく変化させ蛋白分解酵素の切断部位が露出し、癌細胞では正常細胞には見られないp53ペプチドが出現する可能性がある。本研究は、このようなp21Rasあるいはp53に由来する癌特異的ペプチドが、HLAクラスII分子により提示されCD4^+T細胞に抗腫瘍免疫応答を誘導できるか否かを解析することを目的として行った。その結果、以下のような成果を得た。 1)癌細胞に発現されることが報告されている1アミノ酸置換をもたらすようなミスセンス変異を含む、p21Rasおよびp53に由来する18種類のペプチドの中より、特定のHLA-DR分子に結合するもの12種類を同定した。2)胃癌患者の脾細胞より、p21Rasの第3〜20アミノ酸残基に対応するペプチドで第12アミノ酸残基のGly(G)がVal(V)に変異したペプチドG12V,G12A,G13DあるいはG12Sに特異的に反応するCD4^+αβT細胞クローンを樹立した。 3)健康者の末梢血リンパ球より、正常なp53第186〜205アミノ酸残基に反応するT細胞クローンを樹立した。今後、これらのT細胞クローンが変異Rasあるいはp53蛋白、さらにこれらを発現する腫瘍細胞を標的として免疫応答を示すか否か検討する予定である。
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