研究課題/領域番号 |
06282251
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
伊東 文生 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90223180)
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研究分担者 |
日野田 裕治 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10165128)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 分子腫瘍学 / 大腸癌 / マトリライシン / 浸潤 / 治療 / レチノイン酸 |
研究概要 |
マトリックスメタロプロテアーゼのファミリーであるマトリライシンは、胃癌・大腸癌において高発現しており、浸潤・転移との関連が考えられていた。我々は、これまで胃癌・大腸癌などの消化器 癌においてマトリライシンが高頻度にかつ癌組織に限局して発現していることを明らかとしてきた。本年度の研究では、遺伝子導入実験を用いて、マトリライシンの導入によるin vitro浸潤能およびin vivo転移能の変化につき検討し、大腸癌の浸潤および転移過程におけるマトリライシンの働きを明らかとすることを目的とした。また、消化器癌浸潤抑制の新たな治療法開発の基礎的検討としてマトリライシンの発現を抑制することがすでに明らかになっているレチノイン酸によるin vitro浸潤能の抑制効果を検討した。また、アンチセンスマトリライシンの遺伝子導入によりマトリライシンの発現を低下させin vitro浸潤能を検討した。 結果として、マトリライシンの大腸癌細胞株への遺伝子導入実験により、マトリライシンがin vitro浸潤能を亢進させること、SCIDマウス移植腫瘍の転移能を高めることを明らかとした。このことより、大腸癌に高発現しているマトリライシンは癌細胞の浸潤および転移過程に重要な役割をしていることが考えられた。 また、レチノイン酸で処理することによってマトリライシンの発現を抑制したところ、in vitro浸潤能をも減弱させることが明らかとなった。さらに、アンチセンスマトリライシンの遺伝子導入によってもマトリライシンの発現を低下させることが可能で、かつ、in vitro浸潤能を減弱させることが明らかとなり、マトリライシンの低下をもたらせば浸潤能を減弱させうることが示された。以上の結果により、レチノイン酸の投与は大腸癌の浸潤を抑制しうる新たな治療法になる可能性が示された。
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