研究課題/領域番号 |
06282254
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
今堀 良夫 京都府立医科大学, 医学部(脳神経外科), 助手 (80191899)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | がん増殖シグナル / Pl turnover / [^<11>C] diacylglycerol / 増殖因子 / ポジトロンCT |
研究概要 |
要約 1)ポジトロンCTを用いて脳原発悪性リンパ腫の患者の増殖シグナルに関連する画像を捉えた。本結果は基礎段階で得た研究結果に一致するものであった(一般研究B:02454337,一般研究C:05671179)。 2)本課題の基礎研究では増殖因子があたえるジアシルグリセロール(DAG)の再利用抑制効果を発見した。従来から増殖因子が受容体に結合したあと、Pl turnoverを含めた一連のシグナル伝達が生じ、これに伴ってDAGの細胞内濃度上昇が起こるとされてきた。本研究で数種類の増殖因子やPl turnoverに活性を有する物質を用いて腫瘍細胞に炭素11で標識したDAGを投与し、Pl turnoverへのDAGの再利用を調べたところ、増殖因子によるDAGの再利用抑制が起こっていることが認められた。これから上記の様なPl turnoverやPC-specific PLCなどのDAG生成経路と、他方、DAG再利用抑制による二重のDAGの濃度上昇機構の存在が示唆された。 方法と結果 脳原発の悪性リンパ腫の患者において[^<11>C]diacylglycerol probeを用いたポジトロンCT検査を行い、その結果、腫瘍部に顕著なPl代謝回転の亢進が認められた。正常脳皮質に比べ、Pl代謝回転の亢進は、T/N比で2.2であった。腫瘍の主座は脳梁にまたがるものであったが(図-1a)、同時に周囲の小病巣も顕著な取り込みを呈し良好な画像を得ることができた。(図-1b)。さらに本患者での[^<11>C]diacylglycerolの取り込みの定量値は腫瘍部では8.0×10^<-4>ml/s/g、正常皮質では3.6×10^<-4>ml/s/gであった。一方、培養腫瘍細胞に[^<11>C]diacylglycerolを投与し、増殖因子を用いてPl turnoverへのDAGの再利用を調べたところ、これら因子によりDAGの再利用の抑制が一過性に認められた(図-2)。本結果はDAGの過剰生成と、再利用抑制による二重のがん細胞のDAG濃度上昇の機構が存在することを示唆するものであると考えられる。
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