研究概要 |
本年度の研究によって以下の点が明らかにされた。 1、ヘルパーT細胞とキラーT細胞をバイスペシフィック抗体(BSAb)を用いて腫瘍局所にターゲッティングするヘルパー/キラー療法に有用な3種のBSAbを開発した。これらはc-erbB-2、sialyl Lewis^a,CALLAに反応性を示すもので前2者は頭頸部腫瘍、乳癌、胃癌、大腸癌等広凡な腫瘍に対して有用で、後者は骨髄性白血病の治療に応用可能であることを示した(Jpn.J.Cancer Res.,85:887-891,1994;Biomedical J.,2:15-20,1995;Bone Marrow Transplant.in press;Immunol Leteers in press)。 2、MHCクラスIIに結合してT細胞を活性化できるスーパー抗原(SEA)に反応性を示すヒトCD4^+T細胞はIL-2とIFN-γを産生し、かつキラー活性を示すTh1型ヘルパー/キラー細胞であることを初めて示した。さらに、SEAと抗c-erbB-2抗体との化学的結合物を作製して、このコンジュゲートとSEA反応性CD4^+ヘルパー/キラーT細胞を用いて、腫瘍局所免疫の増強が可能であることも示した(J.Immunol.in press)。 3、IL-12がヒト腫瘍内リンパ球からの自己腫瘍破壊性CD8^+キラーT細胞誘導を増強できることを始めて示した(Jpn.J.Cancer Res,in press)。さらに、マウス移植腫瘍あるいはc-Ha-rasトランスジェニックマウスにおける原発腫瘍の増殖もIL-12の少量投与によって抑制できることを明らかにした(Int.J.Cancer,Eur.J.Immunol.投稿中)。また、腫瘍細胞にIL-12p40,p35cDNAをコントランスフェクトすることによって腫瘍性が失われることも既に確認して、IL-12癌遺伝子治療への有用性も確認した。
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