研究課題/領域番号 |
06282266
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)佐々木研究所 |
研究代表者 |
山下 克子 (財)佐々木研究所, 生化学部, 部長 (70030905)
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研究分担者 |
久下 小百合 (財)佐々木研究所, 生化学部, 研究員 (50260104)
福島 慶子 (財)佐々木研究所, 生化学部, 研究員 (10250010)
大倉 隆司 (財)佐々木研究所, 生化学部, 研究員 (50183223)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 腫瘍マーカー / 大腸癌 / 癌胎児性抗原 / キカラスウリレクチン-I / 組織染色 / アスパラギン-N-結合型糖鎖 / 硫酸化糖鎖 / type2鎖 |
研究概要 |
各種臓器癌産生の糖蛋白質の中から今年度は癌胎児性抗原(CEA)に注目して報告する。CEAは消化器系癌の腫瘍マーカーで、1モルあたり28本のアスパアラギン結合型糖鎖が結合した糖蛋白質である。我々は大人糞便から精製した正常腸上皮細胞由来CEA相当成分(NFA-2)と直腸癌の肝転移巣から精製したCEAの違いが糖鎖構造の違いによることを明らかにしてきた。NFA-2の糖鎖は基本的にtype1鎖を基本骨格としている一方で、CEAの糖鎖はtype2鎖を骨格としてこれらにフコース、シアル酸、硫酸基が多様な結合様式で結合しているが、CEA結合糖鎖のシアル酸はtype2鎖にα2→6結合し、NFA-2のそれはType1鎖にα2→3結合していること、また、CEAの硫酸基はtype2鎖、NFA-2はtype1鎖を骨格としてN-アセチルグルコサミンのC-6位に硫酸基が付加していることを明らかにした。 次に、CEA糖鎖の癌性変化の中からNeu5Acα2→6Galβ1→4GlcNAc結合糖鎖の出現と大腸上皮細胞の癌化との関連をこの糖鎖に親和性を示すTJA-Iを用いて検索を行なった。CEAの血中濃度が80ng/m以上の全例に転移が認められる大腸癌患者では、血中CEAが高率でTJA-Lカラムに吸着した。一方、血中CEAが陰性の早期大腸癌患者の癌組織でCEAも含めた糖蛋白質群ににNeu5Acα2→6Galβ1→4GlcNAc残基が出現しているか否かをビオチンラベルしたTJA-Iを用いて組織化学的検索を行った。その結果、正常結腸(20例)及び良性疾患である腺腫(20例)ではTJA-Iで全く染色されなかった。一方、分化型結腸癌で非ムチンタイプの症例(53例)の85%が陽性で、癌組織の腺管腔に面した細胞表面の頂端部が染色された。ところが、これと対照的に未分化型(9例)とムチン分泌型の結腸癌(10例)はほとんど染色されなかったことから、TJA-Iレクチンによる大腸癌の組織染色は、進行癌のみならず早期の非ムチン型分化型大腸癌に陽性でNeu5Acα2→6Galβ1→4GlcNAc残基が出現しており、ムチン分泌型大腸癌と未分化型大腸癌との区別に有用であることが明らかとなった。
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