研究分担者 |
厳島 行雄 (巌島 行雄) 日本大学, 文理学部, 助教授 (20147698)
太田 裕彦 放送大学, 教養部, 助教授 (20152150)
長嶋 紀一 (長島 紀一) 日本大学, 文理学部, 教授 (60050217)
末永 俊郎 帝京大学, 文学部, 教授 (80011261)
中島 義明 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90012492)
碓井 真史 道都大学, 社会福祉学部, 教授 (10223538)
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研究概要 |
日常文脈における認知とその障害の問題について,認知,知覚,社会,発達,障害の各班に分属して,研究を行った.認知班では,非言語情報について環境認知と顔認知を取り上げ,階段と廊下の認知的距離の評定において階段の方が過大評価されやすいこと,表情による情動認知に関する快適性と活動性の2因子が,顔の形態の物理的変数と対応することが明らかとなった.また,言語情報を含む認知過程について,映像と文字情報の同時処理過程や文章理解における照応の理解過程について検討した.知覚班では,視覚と触覚における日常文脈性について検討し,仮現運動と知覚的群化に共通した類同性の効果が働いていること,日常的事物の触覚から得られる感覚印象におけるSD法の有効性,知覚と記憶における大きさ判断のべき関数で刺激の変化範囲が重要であること,4角形の縦横比を調製させ,美的形態を作らせると黄金比に近くなり,そのとき隣接あるいは向かい合う2辺を交互に注視しながら調整することなどを示した.社会班では,個人の内発的動機づけを高めるために目標と遂行の間の認知的ずれの存在が効果的であること,ボランテイア活動への外的報酬について内発的動機づけに対する負の効果が否定できないことを明らかとした.また,日記とその内容の記憶からみた自己概念と自伝的記憶の関連についても検討した.発達・障害班では,幼児,老人,精神分裂病患者について取り上げた.幼児については2物体が衝突する場面での因果関係の知覚について,老人については痴呆度検査項目の因子分析から長期・短期・作業記憶の3因子を見いだし,その減衰の特徴について検討した。精神分裂病患者については記憶機能を中心に検討し,物語記憶,知覚記憶,復唱記憶から成る記憶検査を作成した.また,既知顔の認知過程について健常者と同様な反復プライミング効果を見いだし,さらに3カ月後でもその効果の持続を確認した。
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