研究分担者 |
白坂 蕃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40014790)
元木 靖 埼玉大学, 教養学部, 教授 (00092023)
犬井 正 独協大学, 経済学部, 教授 (20184731)
山川 充夫 福島大学, 経済学部, 教授 (00094285)
田林 明 筑波大学, 地球科学系, 教授 (70092525)
松村 祝男 日本大学, 経済学部, 教授 (30049952)
|
配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
1996年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1995年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1994年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
|
研究概要 |
最終年度である本年度において代表者・分担者は引き続きそれぞれの分担課題について,日本の農法を上部構造・下部構造の見地から,また国際比較の観点をも考慮して分析した。総じて,耕作方式と再生産過程の変化および維持には,非農業的部門をも含む広義の農村的要素が密接に関連していることが明らかとなり,農村システム論的研究の有効性を証明した。3年間の研究成果の報告書として代表者は『日本農業の耕作方式と再生産過程に関する農村システム論的研究』を出版した。 研究成果は,水稲栽培,牧畜,園芸農業,農山村の経済・社会,農法の全国的動向,そして外国研究に大別できる。稲作の農法・再生産過程は,都市化や農業人口減少にともなう地域社会の農業維持基盤の弱体化,個別農家の経営基盤の多様化によって急速に変貌した。全体的には粗放化し,再生産過程から排除された農地も増えつつある。一方では経営基盤の変容に対応した新たな農法・再生産過程を模索して経営維持・展開を図る動きも確実なものであった。地力の維持のために土造り,交換耕作などに力を入れる事例がみられた。こうした,農村の地域的システムの変容がひきおこす,農法の多様化と模索は,牧畜・園芸農業といった経営部門別にも明らかであり,また農村・山村・都市近郊といった社会経済的地域別にみても明らかとなった。地域資源の複合的利用は,中核農家を中心に個別経営体をこえ,あるいは部門どうしで,また,農業・非農業部門どうしで,さまざまな地域スケールで展開し,地域農業の再生産を支持していた。そのことが農村地域コミュニティの維持に結びついている事例がみられた。海外の事例においても農村の地域的システムと農業の維持可能性については密接な関連があることが明らかとなった。
|