研究概要 |
コンピュータ等の情報処理機能を利用した教育に関する情報とその流通に関して,平成6年度に,学校で必要とされる教育情報について,とくにネットワークを用いての流通と利用の課題を考察する上で,その利用者である学校のニーズや情報交流のための施設設備の状況を調査するとともに,主要な情報供給源であり,かつ,教育諸学校がそれらを用いて教育実践・研究を推進し現実的教育課題を解決していく過程で指導的な役割を果たすであろう教育実践研究関連センターでの各種教育情報の準備状況について把握するために,調査を実施した。 平成7年度は,前年度の調査を受けて,明らかになった学校や実践センターで必要とされる教育情報のうち,インターネットで流通利用可能な教育情報を,案内型情報と事実型情報の2点で分類して整備し,岐阜大学教育学部付属カリキュラム開発研究センターのWWWサーバを中心として試行的な運用を行った。とくに実践センター等で必要度が高かった文献情報と,附属学校で高かった映像素材情報に重点を置いて整備を行うとともに,それに必要な技術的な課題を検討し,仕組みの開発等を行った。 収集整備し試験的な情報提供を実施した教育情報は,以下のようなものである。 ・案内型情報(教育で活用できる情報の所在を収集し,それへの案内(リンク)を提供するもので,教育利用を目的とした情報のほか,専門家や専門機関が提供している専門的情報かつ最新の情報が教育実践で活用できる):「なりたまの教育情報ガイド(山梨大)」,「弥彦(新潟大)」,「初等中等学校関係ホームページ(兵庫教育大)」,「インターネットと教育(大阪教育大学)」,(WebREC(岐阜大)」,「鳴門ネット・文献検索システム(鳴門教育大学)」,「EDMARS教育研究文献情報データベース(岐阜大)」,「学習ソフト二次情報データベース(学情研・岐阜大)」等。 ・事実型情報(学習指導で利用できる情報そのものを収集・整備し,ネットワーク上で提供する。文字による情報のほか,マルチメティア教材作成のための映像・音声情報等を提供する。利用者はネットワークからダウンロードして利用できる):「ユキダスデータベース(新潟大・長岡科学技術大・上越教育大)」,「マルチメディア素材資料(岐阜大)」,「マルチメディアずかん(岐阜大)」,「火曜の会(静岡大)」等。 教育情報のうち,静止映像や文字・音声・数値情報で表されるものをデジタル化して,インターネットで流通利用させる仕組みについては見通しがついたが,このほかの事実型の教育情報で,学校や実践センターの双方で必要度が高いとされた実践記録のVTR,教材VTR・映画や素材としての動画については,現在のインターネットの環境では困難である。これについては,衛星通信のような映像・音声のリアルタイム性が高い通信系による情報提供を検討し,その利用研究を行う必要がある。
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