研究課題/領域番号 |
06304003
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大沢 雅彦 千葉大学, 理学部, 教授 (80092477)
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研究分担者 |
高田 壮則 北海道東海大学, 助教授 (80206755)
寺島 一郎 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (40211388)
甲山 隆司 北海道大学大学院, 環境科学研究科, 教授 (60178233)
山本 啓司 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60244224)
松本 淳 東京大学大学院, 理学系研究科, 講師 (80165894)
NIIYAMA Kaoru Kyushu Branch, Forestry and Forest Products Research Institute
EGUCHI Takashi Faculty of Arts, Kochi University (30263966)
TAKENAKA Akio National Institute of Environmental Studies (00188202)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
1995年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1994年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | 森林 / 樹冠形成 / シュートモジュール / 常緑葉の特性 / 表層地盤 / 推移行列 / 台風攪乱 / 種子散布 / 台風撹乱 / 植生の推移行列 / 亜熱帯暖温帯多雨林 / 照葉樹林 / 林冠 / 台風被害 / 地形傾度 / 土壌分布 / 生理生態特性 / 林木個体群動態 |
研究概要 |
屋久島の森林を単葉、シュート、樹冠、林分、景観などさまざまなレベルでとらえ、その構造と動的過程を、気候、地形環境との関連で明らかにし、地球変化と森林生態系の応答をヒエラルキー的に解析した。1993年の13号台風の影響を一つの要因として、森林がスケールの異なる環境要因に対してどのような対応を示すのかを明らかにした。過去のデータによると屋久島では季節的な強風が8・9月に集中し、そのすべてが台風による。13号台風は屋久島では最大風速に較べて、最大瞬間風速が強かったが、いずれも史上1位であった。花崗岩を主体とする屋久島では地形が花崗岩のリニアメントに対応して形成され、花崗岩の表層部分が積み木のように不安定な状態で乗っており強風型の台風によって斜面表層の崩壊が起きた。最近、崩壊地は増加傾向にあるがそれが1977年以降いつからはじまったかは不明であり、今後の解析が待たれる。台風による強い影響にもかかわらず、3カ所の森林プロットでの死亡率は0.4-3.0%と低かった。個体はぼう芽再生能力を持ち、台風に対して耐性を持っていた。また、むしろ台風によって形成されたギャップが更新を促すと考えられた。森林の林冠部は多数のシュートモジュールの集合であるが、常緑広葉樹では樹冠の構造を担うモジュールが多様であり、また、それぞれのシュートモジュールの自律性にはヒエラルキーがあることが明らかになった。長期的な気候・地形環境を反映した森林の構造を尾根-谷の地形傾度で比較すると尾根ではリ-フサイズが大きい林冠木の成長が抑制され、本来は森林の下層を構成するような樹種が林冠に達した多種混交林となっていた。これら常緑樹の葉のサイズ、寿命を異なる立地や樹種で比較すると、堆積岩でよく発達した森林では葉のサイズが最も大きく、寿命も長く、次いで花崗岩の乾燥しやすい尾根では葉は小さくなり、寿命も短くなった、さらに標高が高い立地では葉は最小で、寿命も最短であり、葉の特性は指標性を有する。さらに、地滑りをともなうような大きな攪乱によって出現する裸地の遷移系列をそれ以外の放棄畑や空き地の遷移と比較し、ギャップや林縁ではアブラギリが、表土がない造成地ではカラスザンショウとヒサカキが特徴的で、アカメガシワとウラジロエノキはとくに選択性はみられなかった。攪乱の規模によってその後の回復過程が異なる。
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