研究概要 |
平成5年度に政令改正で臨床生理検査装置の一つとして,公式に認められた熱画像検査法の臨床における診断基準の作成を行った.本研究においては,この2年間行われてきたサーモグラフィーの取り扱い基準の研究のうち,既に,基本的に見解の一致をみている使用用語標準からはじめ,温度生理学的知識の基準と,サーモグラフィー装置及び,その物理学的な取り扱い条件に関する工学的基準,そして更に,基本的な画像処理技術に関する基準を基礎として作り上げ,その上で,病態生理上の異なる疾患毎に,その病態を表示しうる標準的診断手法を作りあげる試みを行った.本研究は,2年間に亘る継続研究で,本年度も新しいワーキンググループを定め,基準的な静的な撮影と負荷試験による診断手法による病態生理機能の診断の原理の確立と,確定診断に至る道筋の確立が主要な研究目標となった.この研究の過程で,ワーキンググループの中で標準として定まったサーモグラムの撮影の手順と診断基準は,平成7年6月1日より3日の間,松本市で開催された世界サーモロジー会議で,海外の多くの専門家を含めて討議が行われ,さらに,年2回開催の全体会議で討論され,ガイドラインが作られた.このガイドラインは同じ時に開催の日本サーモロジー学会でも報告され,標準的なテキストブックの試案が作られ,各委員に配布され,関連学会に呈示された.臨床での診断のためには標準的な診断のガイドラインがつくりうる臨床領域を重点的に決定し,その範囲は東洋医学にも広げ,さらに最近急速に発達が始まった,高速のディジタル動画像による熱画像検査法の取り込みや,生体の熱ゆらぎの解析といった新しい診断手法の登場にも対処できるような,標準機器が用意された.
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