研究概要 |
磁気リコネクション過程は,地球,惑星磁気圏,核融合プラズマの分野において,観測・実験並びに理論・モデル・シミュレーションから幅広く研究されてきている。しかも,数多くの先駆的な研究が国内の研究者によって精力的に発表されてきた分野でもある。ここ数年,より現実的なモデル・シミュレーション研究が活発に行われ,磁気リコネクションの3次元的描像,現実的な磁気圏構造での発展の様子,異常電気抵抗と粒子の効果等が明らかにされつつある。 一方,太陽観測衛星「YOHKOH」のX線画像は,太陽表面磁場構造の時々刻々のダイナミカルな変化を私達にみせてくれており,地球磁気圏観測衛星「GEOTAIL」の電磁場,プラズマ,プラズマ波動観測は,磁気圏の激しく変化する姿をみせてくれている。これらの現象の中で,変化の激しいダイナミカルな現象の多くが磁気リコネクション過程と密接に関連していると想像されている。 そこで,『磁気リコネクション』というキーワードを念頭において,「GEOTAIL」による地球磁気圏と「YOHKOH」による太陽コロナの最新の観測結果と理論モデルを比較検討すべく3回のワークショップを持った。話題としては,2次元定常リコネクションの検討,スイ-ト・パーカー型か,ペチェック型の高速磁気リコネクションか,高速リコネクションを引き起こす原因は外部にあるのか,内部にあるのかの討論が活発に行われた。また国産の科学衛星「GEOTAIL」と「YOHKOH」の観測をもとにしたリコネクションの起こっている証拠及び状況証拠と理論・モデルとの比較検討を行った。地球磁気圏尾部におけるプラズモイドの観測,磁気中性線でペチェック型の高速リコネクションが起こっていることを証拠立てるSlow Shockの観測結果が報告された。一方,太陽観測からは,大規模太陽フレアが磁気リコネクションと強く関係していることを信じさせるに十分な軟X線画像が提出された。一方,マイクロフレアも大規模フレアと同様に磁気リコネクションの結果として発生することが新たに示された。
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