研究概要 |
本研究は、人工生命(Artificial Life)の工学展開可能性を,種々の視点から調査研究したものである.そのことを目的として、人工生命,ロボット工学.制御理論,認知科学,生産システム工学,システム工学,感覚科学などの各分野の多岐にわたる研究者を中心に,多くの意見交換・討論の場を持ってきた.従来の,いわばデカルト的概念に立脚した学問体系としてのシステム工学的手法は,多くの分野で閉塞状態を呈していて,工学それ自体が、新しいパラダイムを求めている現状はこれを否定できない.この現状を打破し,新しい展望を,人工生命により計れるかと言う本研究の主命題は,つまるところ,現状の人工生命研究の持つポテンシャルと密接な関係を持ち,時間軸上の原点を将来にずらして検討する必要があると言う結論に達した.すなわち人工生命に関するR&Dが提出した新しいキーワードである,学習,自律,強調,競合,進化,創発,機能,変動する環境,マルチエージェント,超並列などは,それらの一部でさえも工学的に実現できれば,多くの工学部門に与えるインパクトは,大きいものがあると言う認識の一致をみた.換言すると,これらの機能は,生物・生態系の普遍的に持つ機能であり,今後,これらを含む自然界に内包される情報処理メカニズムを明らかにする研究を,重点的に押し進めることにより,工学的展開が計れるであろうとの結論に達した.
|