研究分担者 |
山本 明彦 北海道大学, 理学部, 助手 (80191386)
西田 泰典 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (60000874)
森谷 武男 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60001864)
新井田 清信 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30111149)
渡辺 暉夫 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (40135900)
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研究概要 |
日高衝突帯(日高山脈)の深部構造とテクトニクスを解明する目的で,国道236号線(浦河町〜広尾町)に沿う約20kmの地表地質調査とバイブロサイス反射法地震探査およびその周辺の重力探査とMT法探査を行った.当初は屈折法地震探査も行う予定であったが,予算の関係で行えなかった.変成帯におけるバイブロサイス反射法地震探査はわが国では最初であったが,いくつかの反射面を捉えるなど満足すべき結果をえ,これらの方法地殻深部探査に有効であることがわかった. 1.地表で急立する日高主衝上断層(HMT)は約45度で北北東に傾斜しており,変成帯東端では深度約7kmで傾斜は緩くなっている.したがって,日高変成帯の底は予想以上に浅いことがわかった. 2.変成帯東部の下でHMTの約1km下にそれと平行にもう一つの反射面があり,他表では薄い幌尻オフィオライト帯は地下では約1kmの厚さがあることがわかった.これは重力データからも支持される. 3.日高変成帯前縁(西側)のイドンナップ帯には深度5kmあたりまで,いくつかのへの字形の反射面が認められ,衝突帯前縁のThrust-and-fold構造を予想させる. 4.日高変成帯東縁の深度約13km付近にはほぼ水平な反射面が見られ,その上下には水平な細かな反射面が見られる.これらは大陸地殻下部に見られるSeismic laminationの可能性がある. 5.重力異常は既存のデータと同様に,主稜線に沿う強いプラスのブ-ゲ-異常を示し,日高山脈の下に密度の大きな物質が存在することを示している. 6.MT法探査(地磁気地電流調査)によると,変成帯の下には高変成度岩と考えられる10000 ohm-mの高比抵抗層が深度約約9kmまで続く.変成帯東端では,比抵抗値のより低い層の下(深度約5km)に同じ高比抵抗層が存在する.それらの結果はバイブロサイス反射法の結果と調和的である.
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