配分額 *注記 |
29,400千円 (直接経費: 29,400千円)
1996年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1995年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1994年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
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研究概要 |
1.浮遊帯溶融法による酸化物結晶の精製と評価;超伝導性酸化物の基礎を与える基本網物質としての高純度Cu_2O,Cuo結晶の浮遊帯溶融法による作製試料を、X線,光吸収,発光,ラマン散乱等により評価し、注目すべき新しい結果を得た。 2.酸化物絶縁体の相転移のコンプトン散乱の異常による追求;X線コンプトン散乱による基底状態Cu_2Oの価電子系の運動量分布やスピン分極の温度依存性(T=15-300K)を、高分解能コンプトン分光装置で観測し、その異常から潜在的相転移の存在を追求したが、マシンタイムの不足から明確な結果は得られなかった。 3.熱平衡状態の相転移と光伝導の異常の相関の研究;熱平衡状態の相転移と光伝導の異常の相関について、広い視野で研究を展開し、くり返しパルス光伝導の温度依存性において温度減少と共に出現する特異な光伝導現象の詳細の広い電場領域、励起光波長及び強度での変化を追求した。特にCuOにおいても同様な新しい結果を得た。その他同様な現象の研究を特に磁場下でのCuO,Bi_2O_3でも展開し、Sm_2CuO_4などでも新しい結果を得た。 4.非線型光磁性-オプトサイクロトロン2重共鳴の研究;光磁性の測定として、高密度光励起状態Cu_2Oでポーラロン-励起子系の非線形光学サイクロトロン共鳴現象を観測した。mid-gap statesの存在の問題の他、特にマイクロ波光伝導の温度依存性の詳細を、くり返しパルス光伝導の温度依存性の光応答のダイナミクスのとの関連で新しくしらべ直し、(1s)-励起子吸収近くのλ=614nmでT=60Kに共鳴的な光伝導信号の増加を発見した。 5.超伝導共役性光伝導物質の探求とその光応答のダイナミクスの研究;これら基本物質の光伝導の異常と超伝導相転移との相関を確認するために、特に超伝導体の母体となる基本物質Cu_2O,CuO及びSm_2CuO_4など周辺の物質の単結晶・薄膜など新しい超伝導共役性光伝導物質を、吸収,光伝導,発光など光応答の立場から探求した。Ba_<1-x>K_xBiO_3の光吸収、還元YBCOでの光照射の効果もしらべた。 6.超伝導オプトエレクトロニクス素子の基礎研究;高温超伝導体Y-Ba-Cu-O等とその周辺での超伝導共役性光伝導物質Cu_2Oとの組み合わせを採用し、新しいエレクトロニクス素子の原理に潜む物理の追求と応用の可能性を研究した。その結果少なくとも光信号の温度依存性に超伝導と光伝導の共鳴的シフトを発見、また3端子素子の動作原理の確認や利用への展望をも拓いた。この素子はそれらのゲート領域の高速光伝導性と、ソース、ドレイン部分の超伝導性により多数の素子集積での高速化、高密度化を可能にする。
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