配分額 *注記 |
28,800千円 (直接経費: 28,800千円)
1996年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1995年度: 16,900千円 (直接経費: 16,900千円)
1994年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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研究概要 |
本研究では,-100℃から200℃程度の温度環境下において飛翔体が衝突したときのCFRP積層板の損傷の発生および進展のメカニズムを究明し,異物衝突に耐えるCFRP積層板の開発のための基礎的知見を得ることを目的とした.3年間を通じ,主として(1)種々の温度環境下におけるCFRP積層板の異物衝突損傷の評価,(2)CFRP積層板の粘弾性特性の測定,(3)超音波顕微鏡による異方性材料の材料特性評価,(4)種々の温度環境下でのCFRP積層板の破壊靭性値の測定,(5)面外負荷を受けるCFRP積層版の損傷進展解析,の5項目について検討を行なった.以下にそれぞれに関して得られた結論をまとめる. (1)エアガンを用いた鋼球による衝突試験を実施した,CFRP積層板に生ずる層間剥離と衝撃エネルギの関係ついて調べるとともに,試験片温度と損傷特性の相関関係について考察を行なった. (2)測定温度範囲を-150℃から250℃とし,正弦波状の入力荷重を与えた場合の試験片の変位の測定を行なって,CFRP積層板の粘弾性特性を求めた.マスターカーブを作成するとともに,ガラス転位点,および副ガラス転位点の存在を確認した. (3)複素V(z)型超音波顕微鏡によりCFRP積層板をはじめとする異方性材料の材料特性を測定する方法について考察を行なった.ラインフォーカスレンズを用いることにより,異方性体中を伝播する波動伝播速度を非破壊的に測定でき,ヤング率,密度等の材料定数を算出し得ることを明らかにした. (4)層間剥離の発生および進展に対する特性を評価するため,モードI,モードII層間破壊靭性値試験を測定温度範囲-100℃から200℃で実施した.その結果,CFRP積層板の破壊靭性値は温度に依存し,試験片の粘弾性特性と深い相関があることを確かめた. (5)CFRP積層板に面外荷重が作用する場合について,汎用有限要素法コードABAQUSを用いた損傷進展シミュレーションを実施した.上記の測定により得られた破壊靭性値を破壊のクライテリアとして用い,トランスバースクラックと層間剥離が連成する損傷を模擬した.その結果,有限要素法により,CFRP積層板の典型的な損傷パターンを的確に模擬できることが明らかとなった.
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