研究概要 |
本研究は,半導体立体量子構造を作製するに際して,特定の低指数面(ファセット面)間の表面エネルギーの差を利用することが特徴である。原子の付着確率,原料原子の表面拡散距離を,部分的に絶縁膜で覆われた正方形のマスク基板結晶を用いた選択成長により明らかにした。 具体的には,絶縁膜で覆われたGaAs基板を電子ビーム露光法により0.2μmサイズのパターンに加工し,有機金属気相成長法でGaAs立体量子構造の成長を行った。その際,パターン形状及び成長条件を変えながら選択成長結晶の形状を高分解能走査型電子顕微鏡,および原子間力顕微鏡で詳細に観察し,隣接するファセット面間の原子の付着量,拡散量を調べることにより,相対的な成長速度の面方位依存性を定性的に明らかにした。 また,この成長速度は結晶成長条件とともに変化し,またピラミッド構造の場合には,成長が進むとともに成長速度が速くなり,更に頂上付近では成長が飽和することを明らかにした。頂上形状の結晶成長条件依存性を明らかにした。 この平担な頂上部に成長条件を変えることにより,AlGaAs/GaAs量子井戸を形成し,頂上部にGaAs量子ドットを作製した。ドットの密度は,2×10^9cm^<-2>である。量子ドットからの発光をカソードルミネッセンス法を用いて確認した。
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