研究課題/領域番号 |
06404042
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
前田 憲志 名古屋大学, 医学部, 教授 (90023853)
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研究分担者 |
宮田 敏男 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (10222332)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
30,500千円 (直接経費: 30,500千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 25,500千円 (直接経費: 25,500千円)
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キーワード | 透析アミロイドーシス / AGE / β2-ミクログロブリン / ペントシジン / RAGE / 腎不全 / 酸化ストレス / Redox imbalance / AGEs / カルボキシメチルリジン / メイラード反応 / β2ミクログロブリン / AGEsレセプター / カルボキシルメチルリジン / Advanced Glycation End Products:AGEs / アマドリ構造 / 抗AGEs抗体 |
研究概要 |
透析アミロイドーシス(DRA)は長期透析患者の深刻な合併症の一つで、透析年数が10〜15年を超える長期透析患者には必発する骨・関節破壊を主症状とする疾患であるが、その病因は明らかでなく、有効な治療法も存在しない。その中で我々はDRAのアミロイドの主成分であるβ2-ミクログロブリン(β2M)修飾についての検討から、DRAにおけるβ2Mが糖と蛋白の非酵素的反応により生成されるadvanced glycation end products(AGEs)修飾されていることを初めて明らかにした。AGEs化蛋白は種々の生理活性を持つと報告されているが、AGEs化β2Mも単球遊走作用、マクロファージの骨吸収性サイトカイン産生作用、放出されたサイトカインによる滑膜細胞からのコラゲナーゼ産生亢進作用、AGEs化β2Mによる破骨細胞の骨吸収促進作用等を有し、AGEsの生理活性によりDRAの骨・関節破壊が引き起こされる可能性を明らかにした。AGEsに特異的に結合するレセプター(RAGE)についても検討を行い、AGEs化β2Mの生理活性がRAGEを介する可能性が高いことを明らかにした。以上の業績により、DRAの発症機序をAGEsという全く新しい観点から捉え、更にAGEs産生抑制やRAGE抑制等の画期的な治療法開発への端緒を開くことが出来たと考えている。 またDRA発症の背景となる腎不全とAGEsについても検討を進めた。これまでAGEsは糖と蛋白の反応により生成されるため主に糖尿病患者で検討されてきたが、AGEs構造の一つであるペントシジン測定から、腎不全がAGEsの最も蓄積する疾患であることを初めて明らかにした。ペントシジン蓄積の原因は腎不全による糸球体濾過機能低下ではないため、腎不全で蓄積する未知のAGEs前駆物質やAGEs形成の促進因子の存在が考えられた。実際に主要なAGEsは酸化ストレス下において非常に産生が促進され、腎不全の酸化ストレスが高いことも報告されていることから、腎不全でのredox imbalanceがAGEs蓄積に関与するのではないかと考えている。今後更に検討を進め、AGEs蓄積抑制という観点から腎不全病態の解明とその改善について検討を進めていく。
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