研究概要 |
1.2年に亘る本研究補助金を受けて、国内外から構造解析を依頼された異常フィブリノゲン(Fbg)10余家系について検索を進めた。この中Kurashiki l(γGly-268→Glu,ホモ接合体,Blood印刷中)とKamogawa(γArg-275→Ser,国際血栓止皿学会で報告後,投稿準備中)では全く新しい変異型が同定され,共に最近提唱されたD:D self-association siteの異常が判明した.Dドメインのフィブリン(Fbn)重合反応基に少なくとも2種であることを明らかにした点で重要な情報と考える.又,血栓症を伴うKumamotoではA αArg-19→Glyが同定され,Fbg→Fbn転換後に新たに露呈される所謂Asiteの異常によりFbn重合障害がある.またFbnへのトロンビン結合能も低下しており,形成されたFbn血栓にトロンビンを局在化して血栓形成を自己制御する機構の障害から血栓症に結びついたものと考えられた.Aα鎖150アミノ酸残基を欠くMarburg lではXIIIa因子による架橋形成の異常が認められ出血,血栓,創傷治癒障害との関係の検索を続けている(第3回国際XIII因子カンファランスで報告). Fbg/Fbnの特異な構造を認識するモノクロナル抗体:3種類の抗体が得られた.(1)DドメインのCa^<++>依存性構造を認識する抗体で,単にFbg/Fbnの構造機能関係の解析だけでなく,これを担体とする免疫親和性クロマトグラフィーにより高純度のFbgを単一の操作で精製できた.実際,試料の限られた患者検体からの精製に応用した.
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