配分額 *注記 |
25,200千円 (直接経費: 25,200千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
1994年度: 11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
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研究概要 |
1.FISH法を用いて,ヒトβ-microseminoprotein(β-MSB)遺伝子座が10q11.2であることを明らかにした。この遺伝子座は前立腺癌における既知のLOH領域には含まれていなかった。 2.Single-strand conformational polymorphism analysis(SSCP)を用いてβ-MSPの遺伝子の変異を検討したが,40例の前立腺癌組織中に変異は認められなかった。 3.104例中の前立腺癌患者から得られた生検標本を対象にして,非放射性in situ hybridizationおよび免疫組織化学的染色により,β-MSP mRNAおよび蛋白の発現を検討した。その結果,mRNAは72例(69.2%)で,蛋白は96例(92.3%)の症例で陰性であった。前立腺癌では良性前立腺組織に較べ,β-MSPの発現が減弱し,そのほとんどはmRNA発現減弱に起因しているものと思われた。 4.内分泌療法中の前立腺癌患者において,β-MSP mRNAの予後因子としての意義を検討する目的で、Coxの比例ハザードモデルを用いて年齢・臨床病期・組織学的悪性度を含む多変量解析を行った。その結果,病期Dの症例ではβ-MSP mRNA発現だけが再燃に対する有意の因子であった。β-MSP mRNA発現は予後不良癌の新しい指標になる可能性が示唆された。 5.β-MSPの腫瘍マーカーとしての意義を検討する目的で,放射線治療前の限局性前立腺癌患者42例において,血清中の遊離型および血清蛋白結合型β-MSPを測定した。病期,組織学的悪性度および遊離β-MSPは治療結果の予測因子とはならなかった。単変量解析において,PSAと結合型/遊離型β-MSP比は再発の有意な予後因子であった。限局性前立腺癌における放射線治療後の,β-MSPの予後因子としての有用性が示唆された。
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