配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1994年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
顎顔面部の歯槽骨や上下顎骨の改造変化と応力の関係について,有限要素法を用いた検討を行った。 歯槽骨の改造と応力の関係については,ラット上顎臼歯の移動実験と有限要素法による歯周組織の応力解析により評価した。ラットの歯の移動実験により,加齡の影響が歯の移動効率を低下させることにあることが示された。また,その原因を組織化学的に検討した結果,週齡の高い成熟ラット(成人に担当)では歯槽骨の吸収に関与する歯周靱帯内細胞の活性が低下していることが明らかとなった。この結果を有限要素法による解析に反映したところ,成人における歯の移動効率の低下に関係する要因として,圧迫側歯根膜内の応力が過大となり,これが細胞活性の低下と併存して歯槽骨の吸収遅延を引き起こすことが強く示唆された。 次に,上下顎骨の改造変化と顎整形力,咀嚼力との関係について検討した。鼻上顎複合体に上顎後方牽引力を加えた場合の縫合部の応力を有限要素解析により明らかにした結果,矯正歯科臨床で認められる上顎部の変化には縫合部の応力が強く関与しており,さらにこれを決定するものに顎整形力の作用方向が大きな要因であることが明らかとなった。また,顎関節部に作用する咬合力と下顎頭の吸収との関連性を検討したところ,上下顎骨の垂直的不調和が下顎頭表層における応力の不均衡,すなわち下顎頭前方部での圧縮応力の過大を引き起こし,これが臨床でよく見られる下顎頭の吸収につながる大きな要因であることが明らかとなった。 以上の検討により,顎顔面部の骨の改造にはさまざまな機械的刺激により誘発される応力が関与していることが明らかとなった。
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