研究課題/領域番号 |
06451016
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
齋藤 洋典 (斎藤 洋典) 名古屋大学, 大学院人間情報学研究科, 助教授 (40178504)
|
研究分担者 |
川上 正浩 名古屋大学, 教育学部, 助手 (40242789)
三輪 和久 名古屋大学, 大学院人間情報学研究科, 助教授 (90219832)
筧 一彦 名古屋大学, 大学院人間情報学研究科, 教授 (90262930)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
|
キーワード | 読み処理 / 心的辞書 / 単語認知 / 漢字 / 意味処理 / 音韻処理 / 形態処理 / 読み / 心内辞書 / mental lexicon / migration / illusory conjunction |
研究概要 |
本研究では、漢字の構造が、意味を担う偏(部品)と、音を担う旁(部品)とから構成されていることに着目し、聴覚的(音声)あるいは視覚的(文字)に呈示された単語の認知における協調あるいは競合現象を利用して、心的辞書に対する音韻的・意味的アクセス経路について検討を加えた。 左右に分離可能な漢字2字を視覚的に瞬間呈示すると、呈示されていない漢字が認知される。この錯誤結合現象を用いた視覚呈示実験の結果から、表意文字の読み処理過程においては、それを構成する部品が、心的辞書機構に表象されていることを確認した。この部品表象に対する処理は、単に形態、音韻、意味の処理として独立に行なわれているのではなく、三者間の相互関係によって支えられていると解釈された。 さらに、聴覚・視覚呈示実験の結果、漢字で表記された単語では、それを構成する漢字(部品)が持つ意味によって単語としての意味性の了解が促進されることを確認した。これらの実験は、複数の読みをもつ漢字の単語の読みがユニークに決定される過程を解明する上で、心的辞書を介して意味処理が音韻処理に、また音韻処理が意味処理に、相互的に作用する過程の重要性を示唆している。 心的辞書機構のモデル化は、そのモデルが基礎とする実験材料、つまり表音性と表意性の程度に依存して、あるいはその差異を反映して構築される傾向にあるが、本研究を通じて、両者に共通する心的辞書機構とその機能とを、より統一的に捉え、単語認知に係わる一般モデルを提起する可能性が存在すると考えられた。
|