研究分担者 |
厳島 行雄 日本大学, 文理学部, 助教授 (20147698)
風間 文明 帝京大学, 文学部, 助手 (20276760)
沼崎 誠 帝京大学, 文学部, 講師 (10228273)
鎌原 雅彦 帝京大学, 文学部, 助教授 (90169805)
下斗米 淳 帝京大学, 文学部, 助手 (60226280)
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研究概要 |
本研究では,社会的相互作用状況における情報処理ないし自己情報処理のメカニズムを解明するために,大きく分けて3つのテーマが検討された. 第1のテーマとして,まず「記憶」の問題が取りあげられた.記憶における自己と他者の役割について,rememberingとknowingの側面から検討された.結果として,一般に「人物」を参照する場合と「意味」を評定する場合,また同じ人物参照でも自己の場合と他者の場合とで記憶情報の処理の仕方が異なることが示唆された. 第2のテーマとしては,自己評価ないし自己概念とその変容をもたらすメカニズムの問題が取り上げられた.その1つとして,「セルフ・ハンディキャッピング」という特殊の操作を通じて他者に自己呈示することによって,呈示者の自己評価や自己概念がどのような影響を受けるかが検討された.結果として,主張的セルフ・ハンディキャッピングが能力関連評価にポジティブな効果を,対人関連評価にネガティブな効果を持つことが示唆された.第2テーマでは,自己認知と他者認知間の認知次元の共通性現象に関して,また,職業をめぐる社会的勢力と行動の制約についても検討した. 第3のテーマとして,感情状態が社会行動に及ぼす効果の問題が取り上げられた.まず最初に,ム-ドの生起原因の違いおよびム-ドの種類の違いが援助行動に及ぼす影響が検討された.ム-ドの生起原因が自己にある場合,援助は「楽しみ」ム-ドにおいて促進されず,むしろ「怒り」ム-ドにおいて促進される傾向が見られた.ム-ドの原因が他者にある場合,「悲しみ」ム-ドにおいて援助が促進された.さらに,第3のテーマでは,自己効力が不安や統制感を媒介にして学習に及ぼす影響が継時的に検討された.
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