研究課題/領域番号 |
06451065
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 喜博 東北大学, 大学院国際文化研究科, 教授 (40250857)
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研究分担者 |
柳橋 博之 東北大学, 大学院国際文化研究科, 助教授 (70220192)
黒田 卓 東北大学, 大学院国際文化研究科, 助教授 (70195593)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | イスラム / 民族 / 原理主義 / アラブ / イラン / ハンバル派 / シャリーア |
研究概要 |
木村は、イスラムが最近の四半世紀の間に中東アラブ諸国で影響力を高めつつある現状を、アラブ社会の変容という視角から説明しようと試みた。その結果次のような結論が得られた。20世紀初頭よりアラブ社会は、自由主義、民主化、社会主義の導入などの社会変革の道を模索してきたが、政権の権威主義が民衆の抑圧装置と化したことやアラブ世界のヨーロッパ文化への従属のために民衆はこれらの近代的変革に絶望し、自らの不満を表明するために伝統的な制度・集団・価値観に回帰した。イスラムの復興もこの文脈において捉えられるべきである。黒田は、ロシアがイランに侵攻し、10月革命でロシアが撤退した後にはイギリスがイランの単独支配を目指した状況下で1915年半ばからこれら外国勢力に対する抵抗運動を展開したジャンギャリー運動を、政局や戦局の展開やその中央政府との関係を考慮しつつ分析し、この抵抗運動が、抵抗の舞台となったギーラーンの地域の利益だけではなく、イランという国家的なレベルでの利害関係をも視野に収めるものであったことを明らかにした。柳橋は、現代アラブ諸国のイスラム原理主義の草分けとも言えるハンバル派の主として私法学の分野での特色を調査した。その結果ハンバル派私法学は、伝統的な法思考を排して、あるときはイスラム的な価値観を、あるときは公益を考慮しながら自由な法思考を見せており、他の学派の宗教学者によって擁護されていた権威主義への反発や、非イスラム的な要素を導入していたス-フィズムなどの排撃といったハンバル派の傾向が私法学においても現れている点を指摘した。また現代サウジアラビアにおいては、少なくとも名目的にはシャリーアを最高の法規範とする立場が確認された。
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