研究課題/領域番号 |
06451067
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
足立 啓二 熊本大学, 文学部, 教授 (70128247)
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研究分担者 |
森 正人 熊本大学, 文学部, 教授 (10106065)
櫻井 哲男 (桜井 哲男) 熊本大学, 文学部, 教授 (90110080)
甲元 眞之 熊本大学, 文学部, 教授 (70072717)
工藤 敬一 熊本大学, 文学部, 教授 (50040473)
金原 理 熊本大学, 文学部, 教授 (10039977)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 専制国家 / 封建社会 / 首長制 / 共同体 / 領主制 / 東アジア / 社会構造 / ネットワーク社会 / 封建制 / 近代化 |
研究概要 |
自律能力を有する共同団体と領主制が重積して成立している伝統的な日本社会に対して、共同団体のない中国では個別的な二者間関係の集積した社会の上に正統的な社会管理能力を集中した専制国家が聳えていた。 社会=国家構造の類型的分岐は、国家形成に先行する部族社会の首長制的深化の如何から始まった。初期人類社会史は、団体性に乏しい社会から、次第に強い結合原理を開発しつつ実現した集団形成と集団重積の過程であったが、中国では発達した首長制における強い上下統属関係を前提に、社会の団体性の発展を欠いたまま、集権的な国家が形成された。一方日本では中国の影響下で、土台の未成熟なまま、後追い的に急速に国家が形成された。このため国家は、国家的枠組みが前国家的社会関係に依って支えられているという二面性を持っていた。 11世紀頃より、日本では小経営の本格的形成が始まり、有力小経営の取り結ぶ共同団体と、共同団体の持つ規範能力を収奪した領主が形成され始める。この過程で、古代国家の持った先述の二面性は、基本的な条件となった。生産力の発展は、共同体と領主制の強化・重積を生みだし、共同体の自己管理能力を組み込んだ集中した封建制=幕藩絶対主義に帰結する。これに対して、公権力性を持った団体の生まれない中国では、専制国家に対抗する権力形態は生まれなかったが、封建社会の如き権力集中も実現せず、人民支配は寧ろ弛緩していった。 両者の社会の差異は、近代のあり方も規定した。日本封建社会は、自律団体の持つ市場規律能力と独占的排他性によって、経済の分業化と組織化を強め、経営規模拡大や流通経費低下を実現し、近代移行を容易にした。政治的にも封建制下における合議に基ずく合意を組み込んだ支配は、近代国家による統合の直接的前提を形成した。中国に於いては、近代以降もこうした過程に乏しく、独特の経済・政治構造を形づくった。
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