研究概要 |
申請者によるLe Roman de Renartのテクスト・データベースとコンコーダンスのほかに,研究協力者中川正弘氏(広島大学留学生センター助教授)が作成したMerlinのテクスト・データベースとコンコーダンス、同じく研究協力者太古隆治氏(和歌山工業等専門学校助教授)が作成したEneasのテクスト・データベースとコンコーダンスと合わせて,中世フランス文学の3作品のコンコーダンスを作成することができた。 さらに申請者によるLe Roman de Renartのテクスト・データベースとコンコーダンスの一部は,広島大学文学部フランス語学フランス文学教室のホームページに掲載し,WWWのインターネットをとおして,世界中の研究者に公開・提供されている。またこのことを下記の学会発表の機会を利用して紹介したので,早速国内外の多くの研究者がアクセスし,質問も寄せられた。中でも東京都立大学の岡田真知夫教授からは,貴重なご助言をいただき,一部はそれに従って修正もした。 平成8年7月14日には第15回広島大学フランス文学研究会の席上で,研究協力者の中川正弘氏、前田弘隆氏と共同で(太古隆治氏は海外出張中)「中世文学研究におけるコンピュータ利用」と題する研究報告を行った。さらに同年7月23日には,東京の慶應義塾大学で開催された国際動物叙事詩学会の席上で,筆者単独でNumerisation du Roman de Renartと題する研究発表を行った。 以上一応の成果をあげることができたが,基礎作業に莫大な時間と労力をとられ,これらのデジタル化された資料を利用しての具体的なフランス中世文学のジャンル研究にまで手が回らなかった点は,やむをえなかったとはいえ,今後の課題として残されている。
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