研究概要 |
心理的コンディションの客観的測定を目指したインベントリ-の開発および標準化を目的とし,先ず初年度においては心理的コンディションの概念規定および構成要因と明らかにし,さらにそれらの要因を仮説的下位尺度とするインベントリ-の原案の作成を試みた。収集されたデータを因子分析法により分析した結果,心理的コンディションの構成要因として,一般的活気,技術効力感,競技失敗不安,闘志,期待認知,情緒的安定感,疲労感の7因子がみいだされた。これらの因子と相関する項目を集めてそれぞれ下位尺度を構成し,総計77項目でPCI第1版を作成した。さらに次年度(平成7年度)においては3065名の基準集団に第1版にPCIを実施し,標準化を実施した。まず因子分析により7下位尺度の構成を検証した後,項目の再整理を行い59項目を選んだ。信頼性はアルファー係数および再検査法による相関係数によって検討した結果,状況要因が影響する心理的コンディションを測定するテストとしては一応満足する信頼性が得られた。また妥当性は基準関連妥当性の検討を主として行った結果,競技水準,コンディションなどの基準に関連する妥当性が明らかにされた。また予測的妥当性として,アーチェリ競技における試合前のテスト結果と試合成績との関連性を検討したところ1部であるが事例的に高い関連性が認められた。これらの結果にもとつき最終的に第2版PCIが作成され,Tスコアーによる評価基準表,およびプロフィール化が可能な図表が完成した。
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