研究課題/領域番号 |
06452018
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴橋 博資 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (30126081)
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研究分担者 |
小林 直樹 東京工業大学, 理学部, 助手 (30272660)
尾崎 洋二 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (30011547)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 太陽内部構造 / 太陽振動 / 日震学 / 太陽ニュートリノ |
研究概要 |
太陽の音波モードの振動数データを使って、太陽の内部構造モデルを構築した。大方針は、先ず、太陽の音波モードの振動データから決まる太陽の内部の音速分布を既知の情報として活用し、静水圧平衡及び熱平衡を満たすような星の内部構造を境界値問題として解くというものである。先ず、太陽の音波モードの振動データから決まる太陽の内部の音速分布を既知の情報として活用し、静水圧平衡を満たすような圧力、密度分布を求める。このための微分方程式は、質量が中心でゼロ、太陽半径で太陽質量という境界を課すと、境界値問題となる。温度分布、化学組成分布を求めるには、こうして求めた密度、圧力を使い、更に、熱核反応率、吸収係数の情報を使う。これらを求める微分方程式も、光度が中心でゼロ、太陽半径で太陽光度という境界条件が課せられ、境界値問題となる。一般には解が存在する保証はない。与えられた密度、圧力、音速分布と熱核反応率、吸収係数で解が存在しない場合は、音速データの誤差が大きすぎるか、熱核反応率が間違っているか、太陽が熱平衡にないか、である。 その結果、太陽の音速分布の誤差の範囲内ぎりぎりに、しかるべき境界条件を満たす解が存在し得る事が判った。こうして構築した太陽内部構造モデルは、対流層と輻射層の境界直下で、化学組成の非一様性が見られ、拡散と解釈される。太陽中心部まで伝播する音波モードが少ないため、中心部に近付くにつれて、こうして構築したモデルの精度は悪くなるものの、中心温度は標準より若干低く、中心での水素量は標準より若干多い。これから期待される太陽ニュートリノ・フラックスは、^8Bについては、標準太陽モデル約2/3となり、^7Beについては、標準太陽モデルより約20%少なくなるものの、ppニュートリノに関しては、ここでこうして構築した太陽モデルから期待される太陽ニュートリノ・フラックスは、標準太陽モデルで期待される量とほぼ同じである。このフラックスから、Homestake及びGaによる太陽ニュートリノ捕捉実験での期待値を求め、それぞれ5.62SNU及び117SNUを得た。これらの値は、測定値より有意に大きい。 ところで、こうして決定する太陽内部モデルは、太陽振動データの質と、それから音速を求める方法の精度に依存する。ここで述べた解析で使用した太陽振動データは、BBSOで得られたものであるが、現在、より質の高いと期待される南極で得られた太陽振動データ及びGONGによる太陽振動データを解析中であり、それらによる太陽モデルも近いうちに構築出来る予定である。
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