研究概要 |
実行期間が短期となったので、実行予算の主要配分を次の3項目に限定した。(1)アーク炉中ハンマー急冷法改善のための循環冷却水装置,(2)X線回折測定装置改善のためのステップスキャン装置,(3)メスバウア分光測定の強化のためのRI線源と^<57>Fe安定同位元素試料。 (1)により試料作成条件の再現性が向上した。(2)によりアモルファス試料の評価が的確に行えるようになった。(3)によりメスバウア分光スペクトルの統計精度の向上が期待されるが、それらの納入が当年度末であるので報告すべき成果はまだない。 ハンマー法によりa-Gd_<60>Fe_<20>Al_<20>,a-Nd_<59>Fe_<20>Al_<21>,a-Ho_<60>Fe_<20>Al_<20>およびa-Y_3FeAlの作成に成功した。直流磁化測定と交流帯磁率測定を行った結果、Gd合金の磁気転移温度は192K,Nd合金の磁気転移温度は230K,Ho合金のそれは40K付近であった。いずれの合金もさらに低温でスピングラスないしはスペロマグネットと考えられる帯磁率の減少が観測された。 a-Y_3FeAlについては示差走査熱量測定を行い、発熱ピークを350℃と466℃に観測した。最初の温度359℃でY-Alの結晶相がつぎの温度でFeを含む結晶相が析出することがX線回折スペクトルから推定できた。 今後さらに磁気コンプトン散乱実験とメスバウア分光をこれら合金で測定し、Feの内部磁場と磁気モーメントの相関を調べる計画である。また、Gd,Nd,HoをYで希釈した場合のYの濃度と磁気転移温度の変化、およびリエントラントなふるまいの変化との相関を研究する計画である。
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