研究課題/領域番号 |
06452069
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮地 英紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90025388)
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研究分担者 |
戸田 昭彦 広島大学, 総合科学部, 助教授 (70201655)
泉 邦英 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50025376)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | 高分子 / 超薄膜 / 結晶成長 / 構造揺らぎ / 拡散 |
研究概要 |
1.膜厚が20nmから数百nmのアモルファス超薄膜はアイソタクティックポリスチレン(i-PS)の溶液を水面展開して作製した。分子量Mのi-PSは0.03×M^<1/2>nmの慣性半径を持っているので、分子量が10万以上では超薄膜に閉じこめられた高分子鎖の効果が期待される。2.超薄膜を百枚重ねて、X線位置敏感型比例計数管を用いて、非晶性ハロ-の散乱プロフィルを測定した結果、バルクの場合と比較して有意な差は見られず、少なくとも薄膜中の大部分の分子鎖はバルクと同じ構造である。3.超薄膜表面の揺らぎを原子間力顕微鏡で観察した結果、約1nmの高さの揺らぎが見られた。結晶化後の観察において、結晶表面にも同じ揺らぎが見られ、結晶表面は厚さ数nmの非晶で覆われている。4.下地の影響は結晶の一次核に著しい。210℃以上の結晶化温度では、炭素の下地の場合、結晶の中央に下地に対して垂直に立ったラメラが存在し、雲母下地では、結晶中心に螺旋転位を持つ下地に平行なラメラが成長する。150℃以下の結晶化温度では、いずれの下地においても、ファセットを持たないラメラ晶の他に、下地に垂直なラメラが枝分かれをして、2次元球晶が形成される。5.分子量・下地物質・結晶化温度を変えて、成長速度Gの膜厚D依存性を測定した。その結果、下地に平行なラメラ結晶では、GはDの逆数に対して直線的に減少することが見出だされた。G/G_∞=1-a/D,G_∞はバルクでの成長速度であり、aは分子量・下地物質・結晶温度にはほとんど依存せずに約5nmである。2次元球晶ではGは全く減少しない。これらの結果から、超薄膜中に閉じこめられた高分子鎖が下地との相互作用(吸着)によって、下地から5nmの距離までに存在する高分子鎖の結晶成長速度が遅くなっている。したがって、吸着によって超薄膜内に制限された高分子の拡散過程が遅くなった結果であると結論できる。
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