研究概要 |
本研究プロジェクトを通じて得られた結果は以下のように要約される.貫入された堆積岩と玄武岩マグマとのあいだの相互反応には二つのタイプが識別された.第1のタイプはドレライトシルと黒色頁岩との間に生じる拡散的なタイプであり,第二のタイプは黒色頁岩と玄武岩とが入り混じるような場合に生じるものである.第一のタイプは二番目のものよりもより高温でかつ低い水/岩石比の条件下で生じている.最初のタイプにおいては,黒色頁岩は珪化作用を被っており,ドレライトシルとの接触部にそってSiO2に富むようになる.一方,K2OやRbに完全に枯渇するようになり,多分,ドレライトへと持ち去られたのだと思われる.一方,ドレライトのSiO2量は変化しない.K2OやRbとは対照的にCaOはドレライトから放出され,接触部付近の黒色泥岩にわずかに濃集させられるが,その濃集の程度は,放出される量とはバランスがとれていないらしい.このことは,放出されたCaOが系外へと除去されたことを示唆している.第二のタイプにおいては,黒色頁岩は優白化を受けているにも関わらず,珪化作用は破っていない.その白色は,大量の方解石が黒色頁岩に形成されることによっている.しかしながら,K2OやRbは最初のタイプと同様に,完全に除去されている.MgOやFeOなどの元素や玄武岩から除去され,入り混じった堆積岩中に濃集するらしい.こうした相互作用における二つのタイプにおける異なった挙動は,熱いマグマが貫入することによって生じる堆積岩の脱水に起因する熱水溶液の性質によっていると考えられる.
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